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中国の学者、月土壌の触媒作用を発見 酸素と燃料を生成

新華社 | 2022-05-16 13:33:15 | 編集: 张一

   9日、南京大学の月試料実験室で使われた「嫦娥5号」の月土壌試料。(南京=新華社記者/陳席元)

   【新華社南京5月16日】中国の月探査機「嫦娥5号」が持ち帰った月の土壌試料から、また新たな発見があった。南京大学の鄒志剛(すう・しごう)院士(アカデミー会員)と姚穎方(よう・えいほう)教授のチームが、複数の大学や研究所と共同で0・2グラムの月土壌試料を研究し、成分の一部が太陽光の下で水と二酸化炭素(CO2)を酸素と燃料に変換する触媒として使用できることを発見した。

   研究者らは今回の発見に基づき、将来的には月の資源を利用して月面基地を建設し、深宇宙探査や研究、旅行を支援することも可能との見方を示した。

   研究は、南京大学と中国空間技術研究院、香港中文大学(深圳)、中国科学技術大学が共同で完成させ、成果は米国科学誌「Joule」に掲載された。

   論文筆頭著者の姚教授によると、南京大学の研究チームは中国空間技術研究院の共同研究チームに加わり、2021年から月土壌1グラムの研究を実施。機械学習などの研究手法を用い、うち0・2グラムの試料の構造・組成を詳細に分析した。

   姚氏は「材料科学の観点から月土壌に対し詳細な鉱物分析を実施し、24種類の主要な鉱物を発見した」と説明。「嫦娥5号の月の土壌試料は主に月面の玄武岩から採取しており、鉄やチタンなどが豊富に含まれている。これらは人工光合成で一般的に使用される触媒成分でもある」と指摘した。

   研究者は、月土壌を触媒として、太陽光発電を用いた水電解、光触媒による水分解、光触媒による二酸化炭素還元、光熱触媒による二酸化炭素の水素化の4項目の反応に取り組んだ。その結果、月土壌試料は太陽光発電を用いた水電解と光熱触媒による二酸化炭素の水素化反応において、地球の玄武岩よりも優れた触媒性能を示した。

   姚氏は「これらの反応は、水と二酸化炭素を原料として、模擬太陽光の下で酸素や水素、メタン、メタノールを生成する」と説明。「このうち酸素は人の生存に不可欠の資源であり、水素とメタンはロケット推進剤の重要成分、メタノールは重要な化学原料になる」と語った。

   姚氏は「月に小さな化学工場を建設できるかもしれない」とも述べた。今回の研究は月土壌の資源利用価値を調べるのが目的だったと説明し「月で原料を調達でき、月自体が持つ資源と人体代謝で発生する廃棄物を資源とエネルギーに変換できれば、有人宇宙飛行のコストを削減できる」との考えを示した。(記者/陳席元、劉宇軒、陳聖煒)

   9日、南京大学の月試料実験室で月土壌試料を保護するために用意されたグローブボックス。(南京=新華社記者/陳席元)

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