ヒト細胞系譜大規模科学研究施設、中国・広州市で建設開始
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ヒト細胞系譜大規模科学研究施設、中国・広州市で建設開始

新華社 | 2025-03-29 10:35:23

ヒト細胞系譜大規模科学研究施設の完成予想図。(広州=新華社配信)

   【新華社広州3月29日】中国広東省広州市で25日、ヒト細胞系譜大規模科学研究施設の建設が始まった。ヒトの生命過程における細胞の動的な変化をマッピング、デジタル細胞人工知能(AI)大規模言語モデルを構築して、バイオ医学研究の新たなパラダイムを生み出すことを目指す。

   同施設は国家第14次5カ年規画(2021~25年)の重要科学技術インフラであり、中国科学院広州生物医学・健康研究院(広州健康院)がプロジェクトを主導する。同市の南東にある島、国際バイオ・アイランド(国際生物島)に、4年半の工期で建設する計画で、延べ床面積は5万平方メートルを超える。

   研究者によると、細胞は生命の基本単位であり、受精卵から組織や器官に発達し、老化するまでの全過程で出現する全ての細胞タイプを収集、解析し、その進化関係を描くことで「細胞系譜」が構成される。その解明は、生命の発達と進化の謎を解き明かし、生命活動を操作する「鍵」になるという。

25日、ヒト細胞系譜大規模科学研究施設の着工式の様子。(広州=新華社配信)

   同施設では、活性を保ったサンプル保存や空間マルチオミクス、先進的なイメージングなど革新的な技術と装置の開発を柱に、AIなどの最先端技術を統合し、発達、疾病、老化という三つの側面を網羅した動的な細胞マップを作成する。

   研究者は、現在世界で行われている創薬開発は時間と費用がかかり、臨床的な成功率も低いと指摘する。その一因は、医薬品開発が主に動物モデルで行われ、ヒトの生理システム反応を正確にシミュレーションできないためで、将来的には細胞系譜施設が患者の細胞情報を使って「デジタル患者」を作り、各種治療法の体内での効果を予行演習した上で、「テーラーメード」の精密治療(個別化医療)を実現できるようになるとしている。

   広州健康院の研究員で、細胞系譜施設の副総指揮官兼チーフテクノロジストの陳捷凱(ちん・しょうがい)氏は、同施設の建設により生命科学機器や試薬、ソフトウエア、データなどの分野で一連の革新的な科学技術成果や製品が生まれ、AIとデータリソースの統合が進み、大手企業との緊密な協力が行われ、科学研究成果の臨床応用加速につながるとの考えを示した。

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