【新華社バンコク5月31日】世界銀行の東アジア・太平洋地域チーフエコノミスト、アーディシャ・マットゥー氏はこのほど、新華社のオンラインインタビューに応じ、中国には経済の下押し圧力に対処する政策的余地と能力があると強調した。安定的に成長する中国経済は、東アジア・太平洋地域の発展に安定的に寄与しているとも述べた。
マットゥー氏は、地域の経済発展に対する中国の役割はますます重要になっていると指摘した。域内の多くの国にとって、中国は既に自国経済の付加価値額を増加させる重要な市場であり、ラオスとマレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナムでは付加価値額に対する中国の最終的な寄与率が約10分の1になっていると説明。「安定的に成長する中国経済はこれらの地域の公共財のようなものであり、地域の発展を安定的に支援している」と述べた。
他の経済体と同様、中国経済も新型コロナウイルスの拡大や国際金融環境の悪化、ロシアとウクライナの衝突による新たな成長リスクに直面しており、これらのリスクへの対処はどの国にとっても容易ではないとしつつも、中国はコロナ第1波で比較的抑制的な財政・金融政策を取ったため、衝撃に対する政策余地があるとの見方を示した。
世界銀行がこのほど発表した最新の東アジア・太平洋地域経済見通しによると、域内の発展途上国・地域の今年の経済成長率予測は5%で、前年10月から0・4ポイント下方修正された。マットゥー氏は「域内各国はこれらの課題に対し、グローバル貿易の構造転換と技術の急速な普及がもたらす新たな成長機会を見るべきだ」と指摘した。
「輸出制限措置は、国際貿易における『囚人のジレンマ』の一例であり、自分の利益にかなう行動に見えても、実際は自分を含むすべての人の立場をさらに悪くするだけだ」とも述べ、各国が円滑な貿易を維持するよう呼び掛けた。
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