中国製新エネ車の輸出拡大、「国産車の自前輸送」に商機

中国製新エネ車の輸出拡大、「国産車の自前輸送」に商機

新華社 | 2024-01-19 08:57:42

   【新華社深圳1月19日】中国広東省深圳市の深圳港小漠国際物流港で15日、RORO(ロールオン・ロールオフ)式の自動車運搬船「BYD EXPLORER NO・1」の初出航セレモニーが行われた。同船は5千台以上の新エネルギー車(NEV)を積み、オランダのフリシンゲン港とドイツのブレーマーハーフェン港に向かう。

   電気自動車(EV)大手、比亜迪(BYD)が自前で運用する自動車船の第1号となった同船は、海上コンテナ製造大手の中国国際海運集装箱集団(中集集団、CIMC)傘下の煙台中集来福士海洋工程(CIMCラッフルズ)が建造、船主は国際船舶管理大手のゾディアック・マリタイムで、BYDがリースする。  

   今月9日に山東省竜口市の造船基地で引き渡され、同日午後に煙台市の煙台港に到着。第1陣となる新エネ車1389台の積み込み作業が行われた。14日午前には小漠国際物流港の埠頭(ふとう)に停泊、第2陣の新エネ車4千台超の積み込みを開始した。

   中国税関総署によると、2023年の中国自動車輸出台数は522万1千台。国産車の輸出急増に伴い、主要輸送力とされる自動車船の船腹(貨物積載スペース)不足も発生している。英海運調査大手クラークソンズ・リサーチがまとめたデータによると、20年8月から23年11月末までの間に、積載台数6500台の自動車船のリース料(期間1年)は1日1万ドル(1ドル=約148円)から11万5千ドルへと11倍以上に高騰した。

   BYDや奇瑞控股集団、上海汽車集団など中国自動車企業はここ数年、輸出力を増強するために船隊を組むようになり、「自前輸送」の新たな段階を突き進んでいる。

   造船大手、中国船舶集団(CSSC)傘下の広州広船国際は23年1月23日、BYDから二元燃料エンジンを搭載する自動車運搬船を2隻受注したと明らかにした。奇瑞控股集団も自前の船隊を構築すると発表。上海汽車集団の物流子会社、上汽安吉物流もこの2年で、中国船舶集団傘下の江南造船(集団)に積載台数7千台以上の大型自動車船を数隻発注した。

   中国造船業が発展し、自動車輸出が急速な増加期を迎えるにつれ、「中国製船舶を中国企業が買う」「国産車の自前輸送」という動きが顕在化しつつある。

   中国の造船所は現在、世界の自動車船新規発注のほとんどを受けており、広州広船国際では自動車船の受注は28年までいっぱいとなっている。クラークソンズ・リサーチの統計によると、現在の自動車船受注量のうち、中国の船主によるものが21・1%を占める。新造船が次々と引き渡されると自動車の海上輸送力に占める中国勢の割合が大きく拡大し、日本、韓国、船舶管理を行わない独立系船主が中心のノルウェーに次ぐ世界4位に躍進する可能性もある。

   業界専門家は、中国製自動車の海外市場における競争の鍵はコストパフォーマンスの高さであり、海上運賃が最終販売価格に大きく影響すると指摘。中国本土の海運会社は自動車メーカーと長期的に緊密なパートナーシップを結ぶことにより、経済的な輸送ソリューションを提供できるとの見解を示した。

   中国交通運輸協会新技術促進分会専門家委員会の解篠文(かい・しょうぶん)氏は、自動車企業が輸出用船舶購入を競い合っていることについて、中国自動車業が大きく発展し、国際化が加速していることの表れだと説明。自動車企業は船舶を購入することで、輸出業務の着実な遂行と輸送コストの引き下げを実現し、海外顧客への期限通りの納車を保障することができると述べた。

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