
青海省西寧市の湟源県人民医院を訪れ、余耀徳(よ・ようとく)元院長(左端)と交流するプライマイヤーさん(左から2人目)と妹のメアリー・アンさん。(資料写真、西寧=新華社配信)
【新華社西寧10月28日】中国青蔵高原にある青海省西寧市湟源県。この小さな県を「唯一の故郷」と呼ぶ米国人男性がいる。デビッド・ビクター・プライマイヤー(David Victor Plymire)さん(95)。1931年に米国で生まれ、翌32年、わずか1歳のときに両親と海を渡って湟源県へ移り住んだ。18歳で離れるまでの17年間をこの地で過ごした。
故郷を再び訪れたのは、それから38年後の87年9月だった。地元の方言で自分の名前や素性を伝えると、その場にいた人たちは、白髪交じりの米国人男性が流ちょうな湟源方言を話すことに驚いた。米国に帰ってからも故郷の言葉を忘れないよう、よく一人で鏡に向かって湟源方言を練習していたという。

2000年にCTスキャナーを寄贈したプライマイヤーさん。(資料写真、西寧=新華社配信)
再訪した際、地元の病院で医師や医薬品が不足している状況を知り、故郷のために何かしようと決意。妹と共に、湟源県人民医院に初めて診療機器を届け始めた。その後30年余りにわたり、中国と米国の間を20回以上往復し、超音波診断装置や心電図モニター、CTスキャナーなど30点以上、総額600万元(1元=約24円)を超える医療機器の寄贈に尽力した。これにより、地元でそれまで対応できなかったさまざまな検査や診療が可能になった。
プライマイヤーさんは「人には故郷は一つしかない」と語り、湟源県を自らの唯一の故郷としている。この言葉は地元の人々の心を強く打った。

青海省西寧市湟源で暮らしていた幼少期のプライマイヤーさん。(資料写真、西寧=新華社配信)
湟源県には、プライマイヤーさんの父親の最初の妻とその息子が眠る墓地もある。地元の商店主や住民はその話を知ると、自発的に資金を出し合い、墓石や柵を設けるなどして、荒れていた墓地を整備した。墓地には病院の職員が観賞用リンゴの木を植え、地元では「友情の木」と呼ばれている。
現在、プライマイヤーさんは米国で暮らしている。健康上の理由から長距離の飛行機旅行は難しくなったものの、地元の人々とは電話やビデオ通話で交流を続けている。湟源県人民医院では、プライマイヤーさんにまつわるエピソードを院史に記録し、新入職員の研修でも紹介している。湟源の町の北にある丘では、今も「友情の木」がこの地を見守っている。(記者/白瑪央措、王金金、解統強)
プライマイヤーさん(左から2人目)と家族の記念写真。(資料写真、西寧=新華社配信)