
木陰で過ごすトキ。(漢中=新華社配信)
【新華社西安10月24日】中国陝西省林業局の最新統計によると、トキの世界の生息数は2025年末時点で1万2千羽を超えた。1981年に同省で野生のトキ7羽が発見されて以来、保護活動が続けられてきた。生息域も2万平方キロ以上に拡大し、中国国内では15の省や自治区などに及び、かつての生息域への回復も進んでいる。
トキは「東方の宝石」とも呼ばれる。かつて東アジアに広く生息していたが、環境の変化や人間の活動によって数を減らし、野生では絶滅寸前まで追い込まれた。トキが発見された同省漢中市洋県では、狩猟や森林伐採、農薬や化学肥料の使用、開墾や発破作業を禁止する厳しい規制を設けた。生息地の保護に重点を置き、域外保全や野生復帰による個体群の拡大を進め、行政と社会が連携し、人とトキが共生できる環境づくりに取り組んできた。

水辺にたたずむトキ。(漢中=新華社配信)
漢中トキ国家級自然保護区の華陽種源基地には、山の斜面を利用して造られた約3万6千平方メートルの大型ケージがある。内部には人工湿地や草地、森林が設けられ、野生に近い環境が再現されている。大型ケージは野生復帰に向けた順化訓練の場となり、幼鳥が餌を探し、飛び、危険を避ける能力を身につけるために使われている。同基地はトキの感染症対策や世界各地への繁殖用個体の供給も担っている。張民(ちょう・みん)所長によると、職員は毎日午前8時から午後2時までの間に、ケージ内のトキにドジョウや小魚、小エビなどを2回に分けて与えている。餌やりの後は、1羽ずつ元気があるかどうか確認し、餌の食べ方や行動、飛行経路を観察、記録する。

花々の間から顔をのぞかせるトキ。(漢中=新華社配信)
保護活動には新たな技術も取り入れられている。同保護区の人工繁殖センターでは、赤外線による監視と日常的な巡回を組み合わせて営巣地を把握し、交尾や巣作り、抱卵などの様子を昼夜を問わず定期的に観察、記録している。張さんは「以前は木の下から肉眼で観察するしかなかったが、今では観測機器を使い、より詳しく観察できるようになった」と語った。
トキが洋県で発見されてから、今年で45年になる。同県はこれまでに繁殖用のトキ300羽以上を提供し、中国各地や日本、韓国での個体数の回復を支えている。

大型ケージ内のトキの行動を記録する、漢中トキ国家級自然保護区華陽種源基地の張民所長。(漢中=新華社配信)