
高齢者に付き添い談笑する、江蘇省南通市にある高齢者介護施設の介護士(右)。(資料写真、南京=新華社配信)
【新華社武漢10月22日】中国江蘇省南京市。午後3時、24歳の衡夢雨(こう・むう)さんが高齢女性の周さん宅を訪れた。家に入ると、まず室内に危険な箇所がないか確認する。続いて冷蔵庫を開け、食材を確かめ、期限切れの食品を処分する。忙しく立ち働く衡さんに、周さんは果物を出してもてなした。
穏やかな様子の周さんだが、数カ月前までは一人暮らしによる孤独感から気持ちが沈み、悲観的になっていた。衡さんによると、周さんは長年ほとんど家に閉じこもって暮らし、遺書を書くことを何度も口にしていたという。
衡さんは周さんを無理に説得するのではなく、じっくりと話を聞いた。訪問を重ねる中で、電話を使った詐欺の手口や健康に関する誤った知識について説明し、規則正しい生活やバランスの取れた食事ができるよう手助けした。周さんも次第に悩みや日々の出来事を打ち明けるようになり、生活への自信を取り戻していった。
衡さんが手掛けるのは、高齢者宅を訪問して話し相手や生活上のサポートを担うサービスだ。大学時代から高齢者向けサービスに関心を持ち、卒業後は関連分野の仕事に就いた。2025年末に、自宅を訪問して高齢者に付き添うサービスを始めようと思い立った。
15日、長テーブルを囲んで談笑する高齢者たち。(蘭渓=新華社配信/胡肖飛)
現在、衡さんのチームは9人に増え、月平均20件の新規依頼を受けている。メンバーには、子育て中の専業主婦や現職の教師、介護関連分野の卒業生、心理カウンセラーなどがいる。
中国では、衡さんのように、高齢者の自宅を訪問して実の子どものように寄り添う「シェア子ども」と呼ばれるサービスに携わる若者が増えている。交流サイト(SNS)では、個人や事業者がこうしたサービスを提供している。多くは時間制で、1回の利用時間は2~4時間、料金は数百元(1元=約24円)から千元を超えるものまである。
こうした新しいサービスが広がる背景には、高齢化に伴う需要の増加がある。
25年末時点で、中国の60歳以上の人口は3億2300万人と総人口の23%を占めた。調査によると、高齢者層は自宅での生活を望む傾向が強い一方、子どもと離れて暮らす高齢者や生活に困難を抱える高齢者が多く、生産年齢人口に対する高齢者の比率も高い。(記者/田中全)