中国の科学者、世界最軽量のワイヤレスメゾスコープ開発

中国の科学者、世界最軽量のワイヤレスメゾスコープ開発

新華社 | 2026-10-21 23:34:30

19日、清華大学の実験室で撮影したワイヤレスメゾスコープ「エアスコープ」。(北京=新華社記者/魏夢佳)

 【新華社北京10月21日】中国の研究チームが、重さわずか1グラムの現時点で世界最軽量とされるワイヤレスメゾスコープ(細胞を広範囲で観察できる無線式顕微鏡)を開発した。マウスの大脳皮質の神経細胞(ニューロン)の活動を6ミリの視野で、細胞一つ一つを見分けながら記録できる。1匹で同時に記録できる神経細胞は8500個以上と既存の無線式顕微鏡の25倍に上る。開発成果をまとめた論文は19日、英科学誌ネイチャーの電子版に掲載された。

19日、清華大学の実験室で撮影したワイヤレスメゾスコープ「エアスコープ」。(北京=新華社記者/魏夢佳)

 自然な状態や集団行動の中にいる動物の複雑な行動を、脳の膨大な神経細胞がどのように制御しているのかを明確に「見る」ことは、神経科学の根本的課題であり、知能の解明や脳とコンピューターをつなぐ「ブレーン・マシン・インターフェース(BMI)」の開発を進める上での重要な基礎になる。

 中国工程院院士(アカデミー会員)の戴瓊海(たい・けいかい)清華大学教授の研究チームが、中国人民解放軍総医院の戴朴(たい・ぼく)氏の研究チームと共同で開発した。設計の一体化と全体の最適化を進め、わずか4枚の非球面レンズで、6ミリ視野で4~6マイクロメートルの単細胞解像度を持つ超軽量のワイヤレスメゾスコープ「エアスコープ」を完成させた。

19日、ワイヤレスメゾスコープ「エアスコープ」の発表会で、開発や応用について紹介する清華大学自動化学科の呉嘉敏副教授。(北京=新華社記者/魏夢佳)

 清華大学自動化学科の呉嘉敏(ご・かびん)副教授は「ワイヤレスで軽く、視野が広く、一度に大量の神経細胞を記録できる」とエアスコープの特徴を紹介。頭に装着する従来の小型顕微鏡は重さが3グラムを超えることが多く、マウスの自由な動きを妨げてしまっていたとし、エアスコープはケーブルが要らず、より軽量かつ小型で、200万画素のイメージセンサーで撮影した画像を本体側で圧縮することで、100万画素級の画像の無線送信を可能にしたと説明した。

19日、清華大学の実験室で、ワイヤレスメゾスコープ「エアスコープ」を装着して自由な探索行動を取るマウス。(北京=新華社記者/魏夢佳)

 研究チームはこの動物用「ウエアラブル」デバイスを用いることで、自然な状態で自由に動き回り、さまざまな複雑な行動を取るマウスの様子を観察できるようになった。ケーブルや装置の重さが制約となり実現が困難だった多くの実験も成功させた。

 清華大学生命科学学院の張元竜(ちょう・げんりゅう)助理教授は「エアスコープは、神経科学の研究で動物の行動の自由度を大きく高めた。脳の認知機能や脳疾患の研究をより効果的に進めるのに役立つ」と語った。 

 戴瓊海氏は、新型の顕微鏡が知能を生み出す神経の仕組みを解明する新たな道具になると指摘。応用が神経科学から免疫学や腫瘍学などへ広がり、疾患の発生過程を完全に追跡できるようになればと期待を寄せた。

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