
楊源鸑鷟の想像図。(福州=新華社配信)
【新華社北京10月19日】中国科学院古脊椎動物・古人類研究所(北京市)の王敏(おう・びん)研究員のチームが福建省地質科学研究院と共同で、ジュラ紀の新たな鳥類化石「楊源鸑鷟(ようげんがくさく、Yuezhuornis yangyuanensis)」を発見した。飛ぶ能力を持たない鳥類としては現時点で最も古く、「鳥類の起源と初期の進化は飛行への適応を軸に進んだ」とする通説を覆す発見となった。
鳥類が恐竜から進化したことは、生命の進化の歴史で最も注目される出来事の一つとされる。鳥類や近縁の恐竜の化石からは飛行に関わる特徴が数多く見つかっており、学術界でも飛行への適応が初期の鳥類の形態進化の主な要因だったとの見方が一般的だった。
化石は、福建省南平市政和県にあるジュラ紀の化石群「政和動物相」の近くで発見された。「楊源」は政和動物相がある同県楊源郷、「鸑鷟」は中国の古い伝説に登場する神鳥に由来する。

「楊源鸑鷟」のホロタイプ(正基準標本)と骨格復元図。(福州=新華社配信)
研究の結果、楊源鸑鷟は恐竜と鳥類の特徴を併せ持つことが分かった。頭骨には、前上顎骨と上顎骨の歯が隙間なく並ぶ、上顎の歯列が長い、歯の付け根がくびれていないなどトロオドン類の典型的な特徴が見られ、足にはデイノニコサウルス類だけに見られる特徴的な第2趾(し)が残っていた。一方、頭骨が全体に細く、歯骨の歯が少ないなどの形態は原始的な鳥類に近かく、頭部より後ろの骨格にも、尾椎の前後の関節突起の退化、腸骨前部の伸長、腓骨(ひこつ)の短縮など鳥類の特徴が多く見られた。
研究チームは包括的な系統解析と複数の定量的な形態学・統計学的解析を通じ、楊源鸑鷟が鳥類に属すると確認した。飛行能力はなく、地上を走る生活に適応した肉食の鳥で、鳥類が誕生の段階で既に生態的に豊かな多様性を備えていたことを示している。
研究成果をまとめた論文はこのほど、国際学術誌「ネイチャー」に掲載された。

福建省政和県楊源郷の「楊源鸑鷟」標本採集地。(福州=新華社配信)

福建省政和県楊源郷の「楊源鸑鷟」標本採集地。(福州=新華社配信)

野外調査を行う中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の王敏研究員。(福州=新華社配信)

中生代の獣脚類恐竜(鳥類含む)の系統樹(左)と恐竜から鳥類への大進化における前肢の長さの変化を示す図。(福州=新華社配信)