
湖北省襄陽市襄州区程河鎮の学校の授業に取り入れられた柳編みの技術。(襄陽=新華社配信)
【新華社武漢10月8日】中国湖北省襄陽市襄州区趙坡村の趙春玉(ちょう・しゅんぎょく)さん(57)は、まだ薄霧に包まれている早朝から自宅の庭先に座り、忙しそうに手を動かしていた。彼女の指先で柳の枝が軽やかに行き交うと、わずか30分ほどで細やかな編み目を持つ果物かごの輪郭が見えてきた。
国慶節連休(1~7日)中、このような光景は同鎮の多くの農家で見られた。しなやかな柳が村民の手の中で行き来して精緻な器物に編み上がり、地元村民の安定した暮らしも紡ぎ出されている。
趙さんによると、普通の小さな果物かごなら1日に10個ほど編むことができ、合作社(協同組合)から出来高に応じて報酬が支払われ、月に3千元(1元=約24円)余りの収入になるという。
柳の枝を編んで工芸品を制作する「程河柳編み」は2020年に同省の省級無形文化遺産に登録された。代表的伝承者の朱徳安(しゅ・とくあん)さんは、300年余りの歴史を持つこの伝統の技も、かつては苦境に陥っていたと振り返る。現代の工業製品との激しい競争に直面し、柳編み製品はデザインの古さや付加価値の低さから、一時は市場での魅力を失っていたという。

湖北省省級無形文化遺産「程河柳編み」の代表的伝承者、朱徳安さんの工房。(襄陽=新華社配信)
こうした中、ここ数年、無形文化遺産の保護・伝承活動がますます重視されるようになり、同区は奨励策の制定や人材育成の強化、文化・観光の深い融合の模索といった措置を講じてきた。伝統の技と現代的デザイン、デジタル技術の融合を推進し、柳編みの技術を農村振興や文化産業の発展に組み込むことで、伝統の技に新たな活力を吹き込んでいる。
朱さんの工房に入ると、棚には柳編み製品が所狭しと並び、素朴な風合いのかごやざるのほか、動物をかたどった置物やおしゃれなハンドバッグ、重厚感のあるついたてなどの装飾品も置かれている。
朱さんは「これらはどれも売れ筋商品で、例えば現代的要素を取り入れたこの柳編みの照明器具は、湖北美術学院と共同開発した『新中式(新中国風)』シリーズで、海外市場に輸出され、数百ドル(1ドル=約158円)で売れる」と語った。大学のデザインチームと連携して現代的要素を伝統工芸に融合させ、新商品の開発を絶えず進めているほか、合作社を設立して栽培、加工、販売の産業チェーンを構築し、ライブコマースを行ってオンラインと対面で同時に柳編み製品を販売している。
新たな技術やデザイン、販路が無形文化遺産の要素と結び付き、美しさと実用性を兼ね備えた一連の製品が生み出されている。今や、程河柳編みは従来の伝統的なかご類にとどまらず、インテリアや文化クリエーティブ、装飾品、日用品などの分野を網羅する400余りのシリーズへと発展した。柳編み企業が次々と競うように誕生し、同鎮全体で数千人の雇用と増収をもたらしている。