抗日戦争勝利の瞬間を見届けた机 中国湖南省芷江

抗日戦争勝利の瞬間を見届けた机 中国湖南省芷江

新華社 | 2026-09-03 13:42:16

湖南省懐化市芷江トン族自治県にある中国戦区の日本軍降伏受諾式会場旧跡に残る、式典で使われた机。「参加受降典礼紀念」の銘が刻まれている。(2025年9月1日撮影、芷江=新華社配信/張卓)

 【新華社長沙9月3日】1945年8月21日、中国湖南省懐化市芷江(しこう)トン族自治県で、中国戦区における日本軍の降伏受諾式が行われた。現在、その会場旧跡は中国人民抗日戦争勝利受降紀念館の一部として保存され、当時使われたクスノキ製の机も残されている。

 机は表面が濃い褐色で、幅140センチ、奥行き67センチ、高さ87・5センチ。天板下に横並びで三つ、左右の袖にそれぞれ三つ、計九つの引き出しを備える。降伏受諾式で実際に使われた机のうち、銘文が刻まれたまま現存する唯一のもので、2006年に湖南省の文化財鑑定専門家チームによって国家1級文物に認定された。

 解説員の鄧雨(とう・う)さんは「民族の勝利を見届けたこの机は、式典のために特別にあつらえたものではなく、80年余り前、慌ただしく会場の準備が進められる中、一時的に借りた民間の家具だった」と説明した。

湖南省懐化市芷江トン族自治県にある中国戦区の日本軍降伏受諾式会場旧跡に残る、式典で使われた椅子。「参加受降典礼紀念」の銘が刻まれている。(2025年9月1日撮影、芷江=新華社配信/張卓)

 1945年8月15日、日本が無条件降伏を宣言した後、芷江が中国戦区で日本軍の降伏を受諾する場所に選ばれた。同紀念館の呉建宏(ご・けんこう)館長によると、同21日午後に行われた式典では、日本側代表の今井武夫がこの机の前で、中国国内の日本軍の兵力配置を示す概略図を中国側に手渡し、降伏に関する規定を詳しく記した覚書に署名、押印した。

 夏休みを利用して芷江を訪れた羅佳凝(ら・かぎょう)さん(17)は、当時の会場に立ち、実際に使われた文化財を目にしたことで、この出来事をより身近に感じたという。「こうした旧跡や古い品々を実際に目にすると、歴史がより現実のものとして感じられる」と話した。

 今年の夏休み期間に同紀念館を訪れた人は44万人を超え、前年同期比12・8%増となった。芷江を訪れ、抗日戦争の勝利に至る歩みをたどり、当時に思いを寄せる人が増えている。

湖南省懐化市芷江トン族自治県にある中国戦区の日本軍降伏受諾式会場旧跡。(2025年9月1日撮影、芷江=新華社配信/張卓)

 呉氏は「『文化財に本来の場所で語らせる』という展示理念を大切にしている。この机も密閉されたケースには移さず、当時の会場の配置を可能な限りそのまま残している」と説明した。

 さらに「文化財は本来置かれていた場所で展示してこそ、歴史を余すところなく伝えられる。当時の場所、当時の物、当時の情景の中で勝利の瞬間を振り返ってもらうことが、抗日戦争の記憶を守り、伝えていく上で私たちが大切にしてきた考え方だ」と語った。(記者/胡蓉、張玉潔)

湖南省懐化市芷江トン族自治県にある中国戦区の日本軍降伏受諾式会場旧跡。(2025年9月1日撮影、芷江=新華社配信/張卓)

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