国民生活軽視の軍拡 問われる高市政権の優先順位

国民生活軽視の軍拡 問われる高市政権の優先順位

新華社 | 2026-08-20 20:36:45

熊本地震で倒壊した家屋。(7月30日撮影、熊本=新華社記者/賈浩成)

 日本では、熊本地震の被災地を訪れた高市早苗首相の避難所の視察時間が極めて短かったと指摘する投稿が、交流サイト(SNS)で広まった。冷房がない避難所もある中でエアコンが完備された場所を訪問場所に選び、かつ面会者も事前に手配された被災者代表だったとの批判の声も上がった。総理官邸が投稿したBGM付きの視察動画も賛否を呼んだ。また、防衛省が災害救援活動をPRするために公開した小泉進次郎防衛相の打ち合わせ中の写真も、モデルの立ち姿のようなアングルがネットユーザーから「災害を利用している」と皮肉られた。

 災害下でのネットユーザーの「ツッコミ」は、現在の日本の政治・社会に見られる異様な状況を浮き彫りにしている。

 一つは、国民の間に渦巻くさまざまな不安や懸念だ。日本のコア消費者物価指数(CPI)は前年同月比で58カ月連続上昇し、物価高が常態化している。名目賃金の伸びは長らく物価の上昇に追いつかず、実質賃金は数年連続でマイナスとなっている。厚生労働省の調査では55・4%の世帯が「生活が苦しい」と感じ、日本銀行の調査では物価が「上がる」と答えた割合が90・4%に上った。輸入インフレ圧力も強まり、2026年のインフレ率予測は1・9%から2・2%に上方修正された。1343兆円を超える国債残高は国内総生産(GDP)比で240%に達し、先進国で最悪の水準にある。

 もう一つは、高市政権の施政の重心が軍備増強による「再軍事化」へ急速に傾いていることだ。防衛費は14年連続で増加し、2026年度の防衛予算は9兆円を超えた。GDP比3~3・5%という急進的な案まで検討されている。2026年版防衛白書は外部の安全保障上の脅威を一段と強調し、軍需産業の拡大を経済成長の柱に仕立てた。閣僚からは「核保有」の可能性を探る発言も相次いでいる。

 日本のネットユーザーが「軍拡重視で国民生活軽視」と嘆きの声を上げるのも無理はない。これは既に高市政権の施政の「代名詞」になっている。

東京国会議事堂前で行われた抗議集会でプラカードを掲げる人たち。(7月10日撮影、東京=新華社記者/岳晨星)

 政治パフォーマンスで国民生活の苦しさは解決できない。日本のネットユーザーは、災害救援が政治家の自己アピールの場になってはならないと批判している。高市内閣が来年4月に食品の消費税を8%から1%に引き下げる方針を打ち出したことに対し、一部の経済学者は、物価上昇が続けば減税効果は一瞬で吹き飛ぶと指摘している。減税は年金や医療の財源をさらに枯渇させるだけだ。政府は減税が年間数兆円の税収減を招くことに代替財源案を提示していない。国会で最近可決された「副首都法案」は東京が災害に見舞われた際の国家機能の継続を目的としているが、国民の血税を日本維新の会の政治的野心の穴埋めに使っているに過ぎないとの批判もある。

 軍需経済や「再軍事化」で日本の「国運」を挽回することはできない。「深刻な少子高齢化、膨らみ続ける高齢者介護や医療などの社会保障費を前に税金は生活の改善に充てるべきであり、軍需調達に際限なく流し込むべきではない」。「安全保障への不安をあおって国民の目を国内政治の矛盾からそらし、危機のナラティブ(物語)を用いて軍事的制約を緩和するよう世論を誘導することにばかり熱心で、物価の引き下げや国民生活の保障など喫緊の課題を後回しにして敵基地攻撃能力の整備を急ぐこの国は、一体何を最優先にしているのか」。日本の若者や平和団体はこのように警鐘を鳴らしている。

 歴史は既に証明している。国の資源を過度に軍備増強に注ぎ込み、国民の生きるための訴えを無視すれば、最終的に社会の分断が深まり、地域の緊張が高まるだけである。日本国内では「脅威を誇張し、軍備増強の近道に頼っても国の真の活路は見いだせない」ことを多くの有識者が見抜いている。日本の国民が切実に望むのは安定した生活である。今後も国民の苦しさに目を向けず、軍事的冒険に固執し続けるなら、最終的に日本という国の基盤を揺るがすことになる。

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 筆者:張言信(国際問題評論家)

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