
景徳鎮のシェア工房で作品を制作するアーグネス・フスさん。(景徳鎮=新華社配信)
【新華社南昌8月19日】韓国・釜山で開かれた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第48回世界遺産委員会は7月25日、中国江西省の「景徳鎮の手工芸磁器産業遺産群」の世界遺産登録を決定した。中国の世界遺産は61件となる。ちょうどその頃、遠く離れた日本に住むハンガリー出身の陶芸家、アーグネス・フスさんは人生初の景徳鎮の旅を終えたところだった。
1993年から日本で活動を始め、長く長野県で暮らすフスさんは、冗談めかして自身を「東洋美学の世界に住む異邦人」と呼ぶ。景徳鎮の旅で最も感銘を受けたのは、芸術的なアイデアが生まれ、再生産され、生まれ変わることができる創作環境だった。景徳鎮のシェア工房が提供する開かれた実践プラットフォームのおかげで、分野を超えたさまざまな芸術的試みに取り組めたという。

景徳鎮のシェア工房で作品を制作するアーグネス・フスさん。(景徳鎮=新華社配信)
和風庭園などに置かれ立ち入り禁止を示す「止め石」は、フスさんの最も中心的な創作モチーフとなっている。日本の茶室や庭園文化において、縄で縛られた何の変哲もない石は特別な意味を与えられ、境界を定め、静かな思索や内省を促す独特の美的シンボルとされる。フスさんは「止め石が日本独自の美意識だと思っている人は多いが、その根源は中国と密接につながっている」と指摘。止め石には中国と日本に通じる禅の心と造園の知恵が込められており、東洋文化に共通する「含蓄」の美学を表していると語った。今回の訪問でフスさんは、陶芸で止め石を再解釈し、中国人書道アーティストとの分野を超えた共同制作を通じて書道の筆使いを石の造形に融合。さらに、3Dスキャンと拡張現実(AR)技術により、歴史ある東洋美学のシンボルにデジタルな現代的表現を与えた。

アーグネス・フスさんが景徳鎮で完成させた作品「止め石」。(景徳鎮=新華社配信)
フスさんは「景徳鎮の手工芸磁器産業遺産群」の世界遺産登録を知っても驚きはしなかった。景徳鎮では千年にわたる歴史的遺産だけでなく、絶え間ない技法の伝承と開放的で共有型の芸術エコシステムも重要な価値を持っていると感じるという。フスさんは滞在期間中、シェア工房で中国のアーティストと共に過ごし、共同で作品を制作。「彼らはとても温かく、多くのサポートをしてくれた。彼らの作品がとても好きだ」と語った。(記者/郭思縁、朱雨諾)