世界遺産「西夏陵」、人気支える展示の工夫 中国寧夏回族自治区

世界遺産「西夏陵」、人気支える展示の工夫 中国寧夏回族自治区

新華社 | 2026-08-14 10:39:15

西夏陵3号陵に設置されている往時の陵塔の形状を示すパネル。(銀川=新華社配信)

 【新華社銀川8月14日】中国寧夏回族自治区銀川市の賀蘭山麓にある西夏陵は、荒涼として雄大な自然、必要最小限に収めた景観整備、余白を生かした文化財の展示手法により独特の文化的魅力を放ち、幅広い人々から人気を集めている。

 西夏陵は11~13世紀に中国北西部に割拠した西夏王朝の王墓群で、九つの皇帝陵と271の陪葬墓、北側の建築遺跡、32カ所の治水遺構からなる。西夏が残した最大規模、最高格式の文化の至宝であり、2025年7月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された。

 1986年に一般公開されて以降、多くの人が見学に訪れたが、想像と実際の落差が大きく、長い間にわたり「ただの土の山の集まり」というのが観光客の率直な感想だった。

 どうすれば「ただの土の山」から歴史を読み取ってもらえるのか。この課題の解決には14年を要した。2011年に西夏陵の世界遺産申請手続きが始まると、国家文物局と寧夏回族自治区、銀川市が連携し、価値調査や考古学調査、遺跡保護、環境整備、防犯監視、展示活用など一連のプロジェクトを実施した。

西夏陵3号陵遺跡エリアに展示されている屋根の建築部材。(銀川=新華社配信)

 西夏陵遺跡の展示・環境整備プロジェクトの総責任者を務める中国建築設計研究院建築歴史研究所の劉剣(りゅう・けん)副所長の「文化財の展示こそ最重要」との考えの下、設計チームは「遺跡そのものを際立たせる」という原点に立ち返る設計方針を定めた。

 戦略の中心となったのは「引き算」と「隠す」だった。博物館やビジターセンターなど現代的施設は核心区域から移転させ、ゴビ砂漠本来の荒々しい景観に戻した。新たな施設は遺跡の溶け込む色調に揃え、柵は目立たなくし、案内表示も控えめにして遺跡への干渉を最小限に抑えた。

 3号陵遺跡を歩くと、黄土を突き固めた「版築(はんちく)」工法による陵塔が大地にひっそりと立ち、背後に賀蘭山が屏風のように連なっている。草木に覆われることもなく、現代建築が主役の座を奪うこともない。陵塔とゴビ砂漠、山並みが織りなす当時に近い景観が広がり、強烈な美的緊張感を作り出している。

 「どの陵も同じように見える」という問題に対し、設計チームは陵墓ごとに異なる「肖像」を描き出した。規模と保存状態が特長の3号陵では帝陵の様式と建造技術に解説の重点を置いた。双陵は西夏王朝の系譜を軸に紹介し、4号陵は賀蘭山に隣接する地理的特性を踏まえて陵墓の選定と山体の構造との内在的な関連性を説明した。「一陵一テーマ」の発想により、遺跡は立体的で多層的な歴史の教科書へ変貌した。

西夏陵風景区で上演された没入型演劇「西夏楽集」で、終演後のゲームイベントに参加する人たち。(7月11日撮影、銀川=新華社記者/艾福梅)

 観光客がソーシャルメディアで「推したくなる」もう一つの要因に、趣向を凝らした展示がある。西夏陵を象徴する空間「月城」に静かにたたずむみ石像群は、金属製のメッシュと遺物の破片で復元しており、往時の姿をよみがえらせるとともに修復の痕跡も明確にした。陵墓跡地には建造物の輪郭を描いた透明アクリル板が設置され、残存する遺構と重ね合わせることで当時の姿を想像できるようにした。

 劉氏によると、これらの設計は、博物館の文化財や専門家・学者の研究成果からしか知ることのできなかった歴史を遺跡で体感できるようにしており、見学者が歴史の本来の姿を理解する助けになるという。

 劉氏らが開発した仮想現実(VR)デモ装置も最近公開された。デジタルで復元した情景と遺跡の実景を融合させ、見学者が没入体験を通じて遺跡の歴史的、文化的価値を感じ取れるようにしている。

西夏陵3号陵遺跡エリアに立つ金属製のメッシュと遺物破片で復元した石像。(2024年10月10撮影、銀川=新華社記者/艾福梅)

 25年に西夏陵風景区を訪れた人は約100万人に上り、前年より7割増えた。今年5月のメーデー休暇の訪問者も前年同時期比83%増となった。

 劉氏は「ここを訪れる国内外の観光客には、まず美しさを味わってほしい。その上で多民族が交流、融合してきた歴史を自然に読み解いてもらえればと思う」と語った。(記者/艾福梅)

西夏陵遺跡に展示されている遺跡全体のジオラマ。(銀川=新華社配信)

本ウェブサイトに関するご意見、ご提案等が

ありましたら xinhuanetjp@news.cn までご

連絡ください。