河北省石家荘市の屋内スキー場「熱雪奇跡」を訪れたスキー客。(7月21日撮影、石家荘=新華社配信/陳其保)
【新華社北京8月7日】中国では今年の夏、気温が20度前後の「20度清涼圏」と呼ばれるエリアでの避暑観光に人々の注目が集まっている。冷房の効いた工場を見学する産業観光や屋内スキー場、鍾乳洞、渓谷など涼を得られる場所も新たな旅の選択肢になっている。
屋内スキー場が格好の「避暑地」に
オンライン旅行アプリ「去哪児旅行」(Qunar)がまとめた「2026年避暑旅行リポート」によると、7月は「避暑」「納涼」などのキーワード検索数が6月の3・3倍となり、「20度清涼圏」都市のホテル予約数は前年同月の1・5倍以上になった。
北京第二外国語学院中国文化・観光産業研究院の呉麗雲(ご・れいうん)教授は「夏は年間で最も長い観光シーズンだ。6月から8月という期間の長さが市場の強みとなっている」と述べ、6月に高校・大学入試を終えた生徒の卒業旅行を皮切りに、7~8月は親子連れと大学生が動き出し、ピークを迎えると説明した。
時期をずらしてスキーに行く計画を立てた四川省成都市の黄さんは「冬のスキー場は人が多く、夏の屋外は暑すぎる。夏休みに子どもを連れて屋内スキーに行くのがちょうどいい」と語り、自らの計画に満足げだった。
「屋内スキー場そのものが優れた避暑地になっている」。呉氏は屋内スキー場が多くの家庭の新たな選択肢になりつつある背景について、北京冬季五輪の効果が持続的に表れていると分析。ウインタースポーツ人口3億人を目指す国の取り組みが地域の壁を破り、南方でも多くの人がスキーを好むようになったとの見方を示した。
去哪儿旅行によると、7月の全国の屋内スキー予約数は前年の2倍で、太湖竜之夢氷雪世界(浙江省)や上海耀雪氷雪世界(上海市)、深圳華発前海氷雪世界(広東省)、成都熱雪奇跡(四川省)、広州熱雪奇跡(広東省)が予約の人気トップ5となった。北方では冬の観光スポットの人気が夏も健在で、屋内に会場を移した黒竜江省ハルビン市のテーマパーク「ハルビン氷雪大世界」は7月の検索数が前月比23倍となった。
北京市の正陽門城楼で仮想現実(VR)を体験する人。(7月27日撮影、北京=新華社記者/陳鍾昊)
工場に涼を求める「産業観光」
「今年は多くの企業が工場見学を行っている。子どもと一緒に見聞を広げたい」。北京市石景山区の李さんは、子どもが見学をとても楽しみにしていると語った。
7月は「工場見学」「自動車工場」「造船所」「科学探索」などのタグ検索が6月の3・7倍となり、「産業探究学習」関連商品の人気度も前年の7割超増となった。
中山大学観光学院文化観光消費研究センターの黎耀奇(れい・ようき)主任は、「素質教育」の普及と深化に伴い、探究学習旅行がライフスタイルの重要な要素になっていると指摘。科学技術や未来に対する関心が一層高まる中、中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)が技術パークで実施する探究学習、電気自動車(EV)メーカー・上海蔚来汽車(NIO)のスマート製造探求などは産業観光を体験、科学技術、教育の方向へ転換させていくとし、将来は質の高い産業観光が爆発的に伸びる可能性があるとの見方を示した。
博物館での探究学習も人気を高めている。多くの博物館が仮想現実(VR)・拡張現実(AR)技術や双方向型体験プログラムを取り入れ、子どもが目で見るだけでなく手も動かせるようにすることで、探究学習の面白さと参加意識を大きく向上させている。
河北省邢台(けいだい)市臨城県の崆山(こうざん)白雲洞風景区で、鍾乳洞を見学する人たち。(7月23日撮影、邢台=新華社配信/馮奕超)
大自然に涼を求める「小都市旅行」
「地方へ避暑に行きたい。新疆(ウイグル自治区)のバルクルは夏でも20度を超えないと聞いた」。広東省深圳市の陸さんは家族での「清涼旅行」を計画している。
陸さんと同じ考えの人は少なくなく、去哪儿旅行によると、平均標高が1500メートル以上で夏の平均気温が20度前後のバルクルへの航空券販売は前年同期の3・2倍に伸びた。夏の観光シーズンの航空券販売が前年同期を上回った上位20路線のうち、半数近くが南方から避暑地へ向かう路線だった。
呉氏は、小都市は旅行者の生活ペースを緩め「ゆったりとした心地よさ」を提供できると指摘。その土地ならではの風土や人情、グルメが他に代え難い魅力を生み出していると述べた。
黎氏は「従来の観光モデルは静かに変わりつつある。人々はソーシャルメディアで知られざる観光スポットを手軽に見つけられるようになった」と分析。中国のインフラ整備がさらに進む中、小さな町の医療や交通、飲食、宿泊も日増しに充実し、気取らない親しみやすさと地域色を一層際立たせ、魅力を高め続けていると語った。