人とのつながりが生む「安心」 日本人留学生が語る長沙生活

人とのつながりが生む「安心」 日本人留学生が語る長沙生活

新華社 | 2026-08-05 16:59:00

2023第2回湖南省大学生野球・ソフトボール選手権大会に中南大学の学生として出場した安藤郁馬さん。(2023年7月4日撮影、長沙=新華社配信)

 【新華社長沙8月5日】「安心とは、見ず知らずの人が自分のために一歩踏み込んで考えてくれること」。中国湖南省長沙市の中南大学公共管理学院で学ぶ日本人留学生、安藤郁馬さんは、初めて中国を訪れて以来、人々の温かさに触れてきた。長沙で4年間暮らし、学ぶ中で、安心とは人とのつながりから生まれるものだと感じるようになった。

 安藤さんが中国に親しみを感じるきっかけとなったのは、19歳の時に訪れた山西省平遥での出来事だった。深夜に平遥古城に到着し、宿泊先でチェックインの手続きをしていた際、財布がないことに気付いた。中国語は一言も話せず、手持ちのお金もない状況だったが、フロント係は外国人の安藤さんを追い返すことなく、簡単な英語で「一緒に探そう」と声をかけてくれた。

 財布は無事に見つかった。「見知らぬ場所でも助けてくれる人がいる」という実感は安藤さんの心に深く刻まれ、その後も中国との縁を深めていく出発点となった。

 この時に抱いた中国への好印象もあり、安藤さんは22年、長沙での留学生活を始め、中国についてさらに深く考えるようになった。治安の面では、日本も中国も世界的に見て比較的高い水準にあるが、長沙で生活するうちに、安心とは治安の良さだけから生まれるものではないと感じるようになったという。

論文審査で発表する安藤郁馬さん。湖南省のサッカーリーグ「湘超」をテーマに選んだ。(2026年5月撮影、長沙=新華社配信)

 安藤さんはある時、レストランに荷物を置き忘れた。店に電話すると、店側はすでにSNSのチャットグループで落とし物について知らせていた。その後間もなく、その店に居合わせたという見知らぬ人から、近くを通るので届けようかと連絡があった。約束した時間に持ってきてくれた。礼を伝えると、その人は「たいしたことではない」と笑って立ち去ったという。特別な手続きを踏んだわけでもなく、人がごく自然に手を差し伸べてくれたことが、安藤さんの心に残った。

 長沙での日々の暮らしでも、人との触れ合いに温かさを感じている。行きつけのレストランでは、店員がまかないを食べる時、安藤さんにも声を掛け、一緒に食卓を囲んでくれる。異国での生活には言葉の壁があり、時には孤独を感じることもある。それでも、なじみの店の扉を開け、「来たね」と迎えられるたびに、心が落ち着くという。それは「物が盗まれない」という安心感とは異なる「ここには自分の居場所がある」という安心感だった。

 何気ない親切や日々の温かな交流を通じ、安藤さんは人情味あふれるこの街で、少しずつ自分の居場所を見いだしてきた。「長沙で体験したこうした出来事をより多くの日本の友人に伝え、ありのままの温かな中国を知ってもらいたい」と語った。(記者/張玉潔)

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