中国北西部の伝統発酵食品「漿水」、業界の垣根を越え進化

中国北西部の伝統発酵食品「漿水」、業界の垣根を越え進化

新華社 | 2026-07-19 17:26:00

李祥鍇教授のチームによる研究成果を基に開発された漿水関連製品。(蘭州=新華社配信/高海濤)

 【新華社蘭州7月19日】中国甘粛省蘭州市では夏になると、街角の麵料理店から酸味を帯びた独特の香りが漂ってくる。中国北西部の人々にとって定番の味「漿水(ジャンシュイ)」だ。千年にわたり受け継がれてきた暑気払いの発酵スープは今、変化を遂げつつある。農家のかまどに置かれていた陶製のかめが大型スーパーに並ぶようになり、口伝えされてきた先人の知恵が科学研究の源泉となっている。

 漿水は三国時代にまでさかのぼる長い歴史を持つとされ、かつては各家庭で作られていた。現在は甘粛省平涼市の荘浪河流域農業総合開発モデルパークで豊富な地元産野菜を原料に、標準化された工場の全自動生産ラインで1日2・5トン生産されている。パッケージ済みの漿水は地元のスーパーや飲食店のほか、陝西省西安市など周辺都市へも大量に出荷され、電子商取引(EC)を通じて全国に向けて販売されている。

 漿水の客層は北西部以外にも広がりつつある。先頃閉幕した第32回中国蘭州投資貿易商談会では、漿水を使ったヨーグルトやコーヒーなどが国内外のバイヤーから大きな注目を集め、独自の味わいと効能に関心を示した業者からの引き合いが相次いだ。

甘粛省発の飲料ブランド「放哈」が発売したフルーツ味の漿水飲料。(蘭州=新華社配信)

 すっきりとした酸味のある漿水は、若者たちのお気に入りにもなっている。甘粛省発の飲料ブランド「放哈(ファンハ)」は、漿水にレモンとミントを組み合わせた「レモンミント漿水」などフルーツ味の漿水飲料を発売した。

 漿水が広がり始めた背景には、科学研究の後押しがある。蘭州大学生命科学学院の李祥鍇(り・しょうかい)教授は「漿水は塩を加えない発酵食品であり、強い分解・抗菌作用を持つプロバイオティクス(腸内環境を整える微生物)を含んでいる」と語る。漿水研究の第一人者である李氏のチームは長年にわたりこの分野を探求。地元産の漿水からさまざまな効能を持つGRシリーズ独自のプロバイオティクス菌株を分離、選別することに成功した。国際的に初めて「腸管修復」理論を提唱し、漿水由来のプロバイオティクスを用いて人体への有害物質の蓄積を抑制しようと試みている。

実験をする蘭州大学生命科学学院の李祥鍇教授。(蘭州=新華社配信/高海濤)

 チームはさらに、明代の薬草図鑑「本草綱目」に記された洗顔法に着目し「漿水フェースパック」を開発。漿水由来のプロバイオティクスが持つ可能性を広げている。

 現代のバイオテクノロジーを基盤に、漿水の健康食品からバイオ医薬品、化粧品・スキンケア用品に至るまで業界の垣根を越えた産業チェーンが形成されつつある。李氏は「継続的な科学研究と積極的な産業高度化を通じて、漿水は世界的に知られる『未来の食品』となる可能性を秘めている」と力を込めた。(記者/文静)

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