
15日、出来上がったラテを客席に運ぶ趙其英さん。(青島=新華社記者/張力元)
【新華社青島6月23日】中国山東省青島市の住宅街に「羅納咖啡」というカフェがある。切り盛りするのは86歳の趙其英(ちょう・きえい)さんだ。多くのカフェ経営者と異なり、趙さんが初めてコーヒーを飲んだのは74歳の時だった。
この店はかつて趙さんの息子が開いたが、客足は伸びず、改装に40万元(1元=24円)を投じたものの、閉店の危機にあった。
趙さんは息子の努力を無駄にしたくなかった。2014年、74歳でカフェを引き継ぐ決心をした。市場調査のために他のカフェを訪れ、人生初のコーヒーを口にした。「コーヒーごとに苦味が違うことだけは分かった」というのが、率直な感想だった。

15日、コーヒーを入れる趙其英さん。(青島=新華社記者/張力元)
コーヒーの入れ方は動画や本で習得。半年足らずでハートのラテアートを描けるまでに上達した。店はこの2年ほどで、住宅街の「家庭的なカフェ」としてネットで話題を集め、趙さんは「コーヒーおばあちゃん」と呼ばれるようになった。
趙さんは今、1日11時間働く。忙しい日には約70杯を入れる。手が回らない時は、70代の親友が手伝いに来てくれる。この「銀髪コンビ」は「家で何もしないより、やることがあったほうがいい」と考えている。

15日、客とおしゃべりを楽しむ趙其英さん(左)。(青島=新華社記者/張力元)
メニューは当初、アメリカーノとラテだけだったが、常連の後押しもあり、今ではアボカドコーヒーやコーヒーフロート、ヘーゼルナッツコーヒーなど10種類以上に増やし、フライドポテトやパスタなどの軽食も加わった。店内の本棚には青島の観光パンフレットや文学作品が並び、客が自由に手に取れる。
趙さんは「皆がここでおしゃべりしているのを見ると、心が温まり、これからの生活に希望が持てる」と話す。今でもコーヒーをおいしいとは思わないと明かしつつも「この『苦い飲み物』のおかげで、甘く幸せな老後を迎えられた」と語った。(記者/張力元)

15日、客が注文した飲み物をノートに書く趙其英さん。(青島=新華社記者/張力元)

15日、コップを洗う趙其英さん。(青島=新華社記者/張力元)

15日、「羅納咖啡」で休憩する趙其英さん。(青島=新華社記者/張力元)

15日、仕事の合間に老眼鏡をかけてスマートフォンの画面を見る趙其英さん。(青島=新華社記者/張力元)

15日、店内の一角に置かれた趙其英さんの写真入りのカレンダーや本。(青島=新華社記者/張力元)

15日、店内に掲げられた趙其英さんの手書きメニュー。(青島=新華社記者/張力元)