W杯ごみ拾い称賛に日本国内から異論 スタジアムの美談と矛盾

W杯ごみ拾い称賛に日本国内から異論 スタジアムの美談と矛盾

新華社 | 2026-06-22 17:28:15

中部大学人文学部の玉田敦子教授が投稿したSNSのスクリーンショット。(東京=新華社配信)

 【新華社東京6月22日】サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会で、試合後にごみ拾いをする日本人サポーターが注目を集めた。海外の視聴者にもおなじみの光景が、日本国内で議論を呼んでいる。

 サポーターが袋を手にスタンドを清掃する写真がインターネット上で拡散し、国際サッカー連盟(FIFA)も交流サイト(SNS)に称賛のコメントを投稿した。

 一方、日本国内ではスタジアムでの行動が日常生活を反映しているのか疑問視する声も上がり始めた。「日本人男性の家庭内労働時間は国際的にみても極めて低い水準」という文章に風刺画を添えた投稿は190万回閲覧された。スタジアムで誇らしげにごみを拾うサポーターが、帰宅後に山積みの洗濯物と皿洗いをしている妻または母親をよそにソファでくつろぐ様子が描かれ、その上に「家でやろう。」と大書されていた。

サッカーの2018年W杯ロシア大会で、日本対ベルギーの試合後にごみ拾いをするサポーター。(モスクワ=新華社配信)

 この批判は、日本に長年存在する社会問題に触れている。内閣府が引用した経済協力開発機構(OECD)の2021年のデータによると、日本の女性が家事や育児に費やす時間は男性の5・5倍に上り、英国、フランス、米国を大きく上回る。

 議論が広く共感を呼んだのは、スタジアムでのすがすがしいイメージが日常の場面と必ずしも一致しないからだ。日本の繁華街ではにぎやかな夜の後、バーやレストランの前にタバコの吸い殻が散乱していることがある。

 試合後の清掃活動を支持する人々は、この振る舞いは世間の称賛を得るためというより、むしろ幼い頃から身に付けた習慣に根差していると考えている。

日本のスタジアムで、試合後に清掃を行うスタッフ。(東京=新華社配信)

 上智大学の中野晃一教授(政治学)は、日本のスポーツファンが国際大会で見せる振る舞いは、学校の体育の授業で培われた習慣と結び付いていることが多いと指摘する。日本の多くの小学校では、児童が自分たちで教室や校内を掃除することになっており、職場でも同様に従業員が清潔な環境を保たなくてはならない。

 研究者は、こうした行動を日本に社会問題が存在しない証拠と見なすべきではないと注意を促す。ドイツ日本研究所のバーバラ・ホルトス氏は、どの国にもそれぞれ課題や弱点があり、日本社会を理想化しないことが重要だと述べた。社会的行動は生育環境や、他人に迷惑をかけたくないという心理の影響を受けるという。

 あるネットユーザーは「夫が片づけをしなくて困っている奥さんは、まずは家の中でも夫に代表のユニフォームを着用させましょう」と投稿した。別のユーザーからは、日本人男性をひとくくりにするのは公平性を欠くとの意見も出た。

 海外で称賛された日本のスポーツファンの行動は議論を呼び、家庭に対する責任、特に家事分担について課題が残る矛盾を浮き彫りにした。

本ウェブサイトに関するご意見、ご提案等が

ありましたら xinhuanetjp@news.cn までご

連絡ください。