
顕微鏡で見たヒトの着床前胚。(北京=新華社配信)
【新華社北京6月17日】中国の清華大学(北京市)はこのほど、同大の研究チームがヒト胚の発育遅延が高頻度で起こる原因を解明したと発表した。長時間顕微鏡イメージング技術で着床前のヒト胚の5日間の発育過程を世界で初めて高解像度画像で撮影した。研究成果は国際学術誌「セル」電子版に掲載された。
体外受精技術は不妊症患者に子どもを授かる道を開いた一方、成功率には限度がある。臨床研究では、受精から胚盤胞形成の5日間にヒトの受精卵の半数以上が発育遅延を起こし、母体に着床させることができないという結果があり、妊娠を阻む大きな要因となっていた。
清華大生物医学交叉研究院の助理教授、北京生命科学研究所研究員の蘇俊(そ・しゅん)氏の研究チームは、ヒトの胚とカニクイザルの胚を計150個余り用いて2千回以上の細胞分裂を体系的に分析。初期(受精後3日以内)の発育遅延胚の7割超が2回目の卵割(受精卵の細胞分裂)で紡錘体異常を起こしているのを確認した。
蘇氏によると、ヒトの胚は卵割を数回繰り返し、細胞はその都度、紡錘体を介して染色体を二つの娘細胞に均等に分配する必要がある。チームの実験では、2回目の卵割時に起きる紡錘体異常が直接的に染色体異常を引き起こし、3回目の分裂までに胚の細胞周期が停止することが明らかになった。

顕微鏡で見たヒトの着床前胚。(北京=新華社配信)
細胞内にある細胞骨格組織の中心、すなわち中心体の数が異常になると、異常な紡錘体の形成を直接的に誘発することも分かった。
研究者はこれらの知見に基づき、2回目の卵割段階で中心体の複製を制御するタンパク質の阻害剤を半数阻害濃度で一時的に添加し、中心体の正常な細胞の割合を4割から8割に高めることに成功した。
蘇氏は「初期卵割停止の臨床的な予防・治療への活用が期待される」と説明。研究チームは今後も新たな顕微鏡イメージング技術の開発を進め、より効率的で安全な胚の発育評価体系の確立を支援し、胚の着床効率を向上させていくと語った。(記者/魏夢佳)