青蔵高原の黄牛、起源は4千年前 中国の科学者が発見

青蔵高原の黄牛、起源は4千年前 中国の科学者が発見

新華社 | 2026-05-10 20:38:45

研究チームが作成したミトコンドリア系統樹と核ゲノム系統樹。(ラサ=新華社配信)

 【新華社ラサ5月10日】中国の研究チームが、青蔵高原の黄牛(中国在来の家畜牛)の起源が約4千年前にさかのぼることを発見した。黄牛とヤクの遺伝子交流が3200年前に始まっていたことも確認し、これまでの記録より約700年早い成果となった。

 研究は蘭州大学(甘粛省蘭州市)、中国科学院青蔵高原研究所(北京市)の陳発虎(ちん・はつこ)院士(アカデミー会員)のチームが国内外の研究機関との共同で実施。研究論文を中国の科学誌「ナショナル・サイエンス・レビュー」(英語版)に発表した。

 青蔵高原東部のカルオ遺跡と西部のゲパ・セルル前期・後期墓地出土の古代のウシの骨のサンプル3点に対する放射性炭素年代測定と古代DNA分析の結果、カルオ遺跡のサンプルは約4千年前、ゲパ・セルル前期墓地は約3200年前、後期墓地は約2千年前と判明。カルオ遺跡のサンプルを青蔵高原で最古の家畜化された黄牛と判断した。

研究チームが作成した青蔵高原の古代黄牛のヤク遺伝子浸透率を示す図。(ラサ=新華社配信)

 青蔵高原の黄牛は古来の遺伝資源を持つ。小さな体格、成熟の遅さ、高地気候への適応などの特徴があり、高原の牧畜業で重要な存在となっている。黄牛の伝播やヤクの家畜化の探求は、青蔵高原の初期農業集団の適応と定住、高原遊牧経済の勃興と発展、高地・寒冷地文明の形成などの科学的問題に対する理解を深める手がかりになる。

 論文の筆頭著者、蘭州大学の陳順港(ちん・じゅんこう)博士研究員は、カルオ遺跡とゲパ・セルル後期墓地のサンプルが東アジア系のウシに分類される一方、ゲパ・セルル前期墓地のサンプルは欧州系のウシとより多くの遺伝的浮動(偶然による遺伝の変化)を共有していたと指摘。「この発見は、黄牛の青蔵高原への伝播ルートが高原北東部に加え、遅くとも3200年前に新疆南部から西蔵西部のルートが存在していたことを初めて明らかにした」と述べた。

 黄牛とヤクとの交雑については「古代の黄牛へのヤク遺伝子の浸透率を定量化したところ、3200年前のゲパ・セルル前期墓地のウシが約1%だったのに対し、2千年前の後期墓地のウシは6~7%となった」と説明。「ウシとヤクの交配は少なくとも3200年前に始まり、種間交配が時間とともに深まっていったことを示している」との見方を示した。

研究チームが作成した青蔵高原への東西二つの黄牛伝播ルート。(ラサ=新華社配信)

 論文はさらに、青蔵高原の東部と西部は古来、地理的に孤立していた訳ではなく東アジアや南アジア、中央アジアをつなぐ重要な通路だったと指摘した。

 今回の研究成果は、先史時代の世界的な交流の中で青蔵高原が中継点の役割を果たしていたことを示すだけでなく、高原の先人が低標高地域に起源を持つ家畜を高地寒冷の極限環境にいかにして導入し、人類が高標高地域で生存と発展を続けるための重要な基盤を築いたかを物語っている。(記者/春拉)

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