
「電磁ソリトン」の多波長発光の時間変化を示した図。(上海=新華社配信)
【新華社上海4月28日】球電は、自然界で最も謎めいた電磁現象の一つとして知られる。多くの人々が空中に浮かぶこの発光する球体を目撃し、その正体に強い好奇心と疑問を抱いてきた。科学者たちも多くの理論的仮説を提唱してきたが、いずれも再現性があり正確に診断可能な実験による検証が欠けていた。
中国科学院上海光学精密機械研究所の研究チームは、世界で初めて人工的な方法により、自然界の球電と形状・状態・発光特性が極めてよく似た球状の発光体を励起状態にし、捕捉することに成功し、球電の本質が「電磁ソリトン」であることを解明、実証した。関連論文は16日、英科学誌「ネイチャー・フォトニクス」に掲載された。
これに先立ち、浙江大学の武慧春(ぶ・けいしゅん)教授は理論研究において、球電は電磁ソリトンの巨視的な現象として説明できるとの見方を示していた。すなわち、球電は高温のプラズマで構成されているが、数秒間にわたり球状を保ち、急速に消散することはないというものだ。しかし、そのエネルギー源や安定化メカニズムについては、体系的な物理的説明や実験的検証が欠けていた。
上海光学精密機械研究所によるこの最新研究では、科学者たちはどのようにして実験室内で「電磁ソリトン」を人工的に作り出し、「球電に似た発光体」を励起させたのか。
同研究所のチーム責任者の宋立偉(そう・りつい)研究員によると、研究チームはレーザーを金属ワイヤーに照射して発生させたテラヘルツ表面波をナノスケールの探針の先へと導き、そこでのサブ波長構造による光の閉じ込め効果と近接場光の増強効果を利用することで、局所的に相対論レベルの強度を持つ近接場電場を作り出した。これがサブミリメートルスケールの電磁ソリトン生成に必要な質の高い駆動源を提供したという。
同時に、超音速のアルゴンガス噴流を針先の近接場に注入した。強力なテラヘルツ電場の作用により、ガスは急速に電離してプラズマとなり、電子とイオンを外側へ放出することで、その中心に球状の空洞が形成される。一方、球殻の表面はテラヘルツ波によって駆動され、高密度で高温のプラズマ殻を形成する。球状空洞内の光波の放射圧と球殻表面の熱圧が、球体の膨張に伴って「精妙な力学的平衡」を成し、テラヘルツ波を内部に閉じ込めることで、自然界に見られる球電に似た現象が形成された。
業界の専門家は、この研究は球電という科学上の謎を解明する重要な実験的証拠を提供しただけでなく、極端な電磁エネルギー閉じ込めの基礎的な物理メカニズムを明らかにし、核融合エネルギーや高エネルギー密度物理、エネルギー貯蔵など関連分野の研究に新たな手がかりを与えるとの見方を示した。