
取材に応じる巫謝慧(右)さんと平原綾香さん。(3月24日撮影、東京=新華社記者/胡暁格)
【新華社東京4月23日】東京にある「心弦二胡教室」でこのほど、中国出身で日本在住の二胡演奏家、巫謝慧(ウェイウェイ・ウー)さんと日本の歌手、平原綾香さんが、まもなくリリースされるコラボレーション楽曲「祈りにみちて」のリハーサルに臨んだ。教室には二胡の柔らかな音色に、澄んだ歌声が重なり、余韻が長く漂っていた。
同教室は巫さんによって開設された。巫さんは来日から30年以上にわたり、立って演奏する「立奏」スタイルなど独自の手法を取り入れながら、二胡を日本の音楽シーンに広め、これまでに数千人の愛好者を育ててきた。
上海生まれの巫さんは1991年に来日した。「来日当初は、二胡を日本の伝統楽器『胡弓』と混同する人が多かった」と振り返る。
その後、二胡は日本で徐々に受け入れられるようになった。人気ドラマ「JIN-仁-」のテーマソング、NHKのドキュメンタリー番組「ダーウィンが来た!」のエンディングテーマソングなどで巫さんの演奏が使われ、日本の映像作品で二胡の存在感は次第に高まった。その豊かな表現力に心を打たれた日本人も多く、「これらの作品をきっかけに、二胡に興味を持ち学び始めた人も少なくない」と巫さんは話す。
こうした変化の背景には、二胡という伝統楽器の革新が欠かせない。巫さんは立奏法の導入に加え、ロックやジャズなど現代音楽の要素を取り入れ、二胡の可能性を広げてきた。「立ちながら演奏することでバンドとの一体感が生まれ、より自由な表現が可能になる」という立奏は現在では一般化しているが、30年以上前には珍しかった。巫さんは「伝統文化は、試行錯誤を重ねながら現代の美意識と融合してこそ、新たな生命力を獲得する」と強調する。
「心弦二胡教室」には現在、日本人学習者300人以上が在籍しており、これまでの受講者数は数千人に達している。日本での二胡の影響力が高まるにつれ、文化の「逆輸出」ともいえる動きが進んでいる。巫さんは毎年、日本の二胡愛好者を中国に連れ、現地での交流や公演を行っている。
平原綾香さんもその一人だ。上海万博での出演経験を持ち、父親と共に中国の希望小学校でチャリティーコンサートを開催するなど、中国との縁を深めてきた。
二人が手がけた新曲「祈りにみちて」は今月24日にリリースされる。平原さんは「私にとっては、二胡と一緒に声を合わせるというのが初めての経験。巫さんは歌うように二胡を演奏し、私も二胡を奏でるように歌う。そのコラボレーションがすごく楽しい」と語った。
さらに平原さんは、中国語版の制作にも意欲を示した。人工知能(AI)も活用しながら発音を学び、中国人にも思いを届けたいとしている。
巫さんは「今回のコラボレーションで、二胡は新たな段階に入ったと感じる」とし、「二胡がバイオリンのように地域を越えて世界へ広がり、鑑賞されるだけでなく、自ら演奏する楽器としても受け入れられていくことを望む」と話している。(記者/胡暁格)