
【新華社北京3月30日】在日中国大使館に侵入し逮捕された陸上自衛隊3等陸尉の村田晃大容疑者(23)は事件当日の24日、刃渡り約18センチの刃物を所持し、有刺鉄線付きの塀を乗り越えて「神の名において」中国の外交官を殺害すると宣言した。
これは決して偶発的な事件ではない。警視庁は建造物侵入という軽い罪名で立件し、防衛相ら高官も形式的な遺憾表明をしたに過ぎず、こうした軽い対応自体が問題を浮き彫りにしている。「村山首相談話を継承し発展させる会」の藤田高景理事長は「自衛隊は隊員に対し、中国についてどのような教育を行っているのか」と問いかけ、過激な事件の背景にある深層を突いている。
日本メディアの報道によると、村田容疑者が卒業した中堅幹部自衛官の養成機関、陸上自衛隊幹部候補生学校は歴史修正主義の温床となっている。2024年度の教材で沖縄戦を「本土決戦準備のために偉大な貢献をなした」と記述する一方、日本軍による民間人の殺害や自決の強要という残虐行為には一切触れていなかったことが明らかになり、世論の批判を受けて一定の修正を行った。自衛隊幹部の最大の供給源である防衛大学校では、必修科目の「防衛学概論」で「支那事変」「大東亜戦争」など中国への蔑視と「皇国史観」に基づく用語を公然と用い、侵略戦争の本質を「欧米列強によるアジア侵略に対する自衛」と歪曲している。また防衛大や各教育機関は、靖国神社参拝を主張する作家の竹田恒泰氏ら極右の人物を講師として頻繁に招いている。
教室の外でも、侵略戦争の歴史を美化し歪曲する「靖国史観」が自衛隊内部に深く浸透している。防衛大を例に取ると、学生は夜間に長距離を踏破し、A級戦犯14人を「合祀(ごうし)」している靖国神社に赴いて「心身の鍛錬と英霊の慰労」をする。「靖国史観」を吹聴する境内の遊就館は、自衛隊の「歴史教育基地」として位置付けられている。23年5月には、海上自衛隊練習艦隊の今野泰樹(やすしげ)司令官(当時)が制服姿の自衛隊幹部候補160人余りを率いて靖国神社を参拝。海自側は「研修の合間の私的参拝」と弁明したが、「研修」の内容は遊就館の見学だった。
組織内部の認識をゆがめる教育は、外部の政治的風潮と表裏一体の関係にある。日本の右翼勢力はここ数年、「正常化」と称して殺傷兵器の輸出解禁や「敵基地攻撃能力」の確保を強行し、平和憲法を空洞化している。高市早苗政権の発足後に右傾化の動きは一層加速し、14日には高市首相が防衛大の卒業式で「隣国脅威論」やいわゆる「第2次世界大戦後最も厳しく複雑な安全保障環境」を強調し、若手幹部に対しあらゆる任務において「緊張感」を持つよう求めた。
刃物を持っての大使館侵入は個人の過激な行動ではなく、長期にわたる体系的な思想教育が生んだ悪果である。歴史はしばしば驚くべき形で繰り返される。幹部候補生学校を卒業し3等陸尉に昇任したばかりの若い自衛官が無断で持ち場を離れ、長距離を移動し、凶器を携えて外国大使館で事件を起こすという行動は、1930年代に日本軍部の青年将校が起こした「昭和維新」と酷似している。当時「皇国史観」に染まり、「憂国の士」を自任する下級将校らが、暗殺やクーデターなどで日本の国家機構を徐々に乗っ取り、日本と世界を戦争へと引きずり込んだ。
村田容疑者は日本に残る軍国主義の亡霊を揺り起こした。手にしていた凶器は、日本政界の著しい右傾化と自衛隊の有害な教育体系がもたらした産物である。武装組織の基層幹部が平和憲法に従わず、外交上の一線を越え、「肉弾式」の政治的投機に走るのは、偶発的なブラックスワン(強い衝撃を与える想定外の事象)ではなく、構造的なグレーリノ(予測可能ながら軽視されるリスク)にほかならない。国際社会は、次に起こり得る衝撃的な悪行に対し、十分な冷静さと高い警戒心を持ち続けなければならない。