
湘西トゥチャ族ミャオ族自治州保靖県の国茶村。(2023年4月撮影、湘西=新華社配信)
【新華社長沙3月6日】中国人民政治協商会議(政協)全国委員会の滕樹静(とう・じゅせい)委員は、中国中部の武陵山脈に位置する湖南省湘西トゥチャ族ミャオ族自治州から選出された。2千年前の秦王朝の文明が記された簡牘(かんどく=文字を記した竹札や木札)の保護から千年の農耕の知恵を宿すチャノキの古木の継承まで、地元で生まれ育ったトゥチャ族の滕氏は、自らの足で基層の民意を汲み取り、民主協商の成果を湘西(湖南省西部)の山河に行き渡らせてきた。
湘西トゥチャ族ミャオ族自治州竜山県の里耶古鎮では2002年、秦簡(秦代の簡牘)3万6千枚余りが出土。20万字を超える竹簡には人口や物産、租税、郵便、司法、医薬など多岐にわたり内容が記されていた。秦兵馬俑(陝西省西安市)に次ぐ秦代考古学の重要な発見とされたが、資金や技術、人材などの問題で「里耶秦簡」の保護と活用は数年前から多くの困難に直面していた。

湘西トゥチャ族ミャオ族自治州保靖県黄金村で、茶葉をもむ茶農家の人。(2024年4月撮影、湘西=新華社配信)
滕氏は24年の全国両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)で「湖南省里耶秦簡の保護・研究・活用の強化に関する提案」を提出。基層の声を託した提案は国家文物局や国家発展改革委員会から重視され、博物館の改修プロジェクトが特別資金の対象となった。
改修を終えた里耶古城遺跡と里耶古城(秦簡)博物館は25年10月28日に一般公開された。滕氏は、基層での調査研究を通じた要望の収集から提案の提出、関係部門の対応、政策の実行と成果に至る一連の流れが「全過程人民民主」を体現していると述べた。
湖南省文物考古研究院から里耶古城(秦簡)博物館に移管された秦簡。(2025年10月28日撮影、湘西=新華社配信/張謹)
黄金茶は湘西トゥチャ族ミャオ族自治州の基幹産業の一つで、保靖県黄金村の古茶園にある2057株のチャノキの古木は地元で「飲める文化財」と呼ばれている。
滕氏は23年初め、現地で調査と視察を重ね、同年の全国両会に「保靖黄金寨古茶園と茶文化体系の世界農業遺産申請を加速させる提案」を提出。黄金茶をより多くの人に知ってもらうため、自家製の茶葉を北京に持参して会議の合間に政協委員らに試飲してもらい、品質の高さを詳しく説明した。各方面の努力を経て、保靖黄金寨古茶園と茶文化体系は25年1月に世界農業遺産の中国国内候補に登録された。
里耶古城(秦簡)博物館で展示を見る県里耶小学校の児童たち。(2025年10月28日撮影、湘西=新華社配信/張謹)
古茶園は茶文化と観光の融合によって活気を取り戻し、地元少数民族の風情と伝統製茶技術が多くの観光客を呼び込んでいる。茶葉の香りは電子商取引(EC)を通じて世界にも届いている。
滕氏は今年の提案について、第15次5カ年規画(2026~30年)期間の貧困脱却地域発展という重要分野に焦点を当て、基本公共サービスの均一化と質の向上、基層の緊急対応能力の構築、「革命老区」(新中国成立以前の革命根拠地)の質の高い発展などを調査、研究して政策提言を行うと紹介。政策の恩恵がより多くの基層の人々に届くようにしたいと語った。(記者/張玉潔)

湘西トゥチャ族ミャオ族自治州保靖県の茶園を視察する滕樹静氏(左)。(2024年3月14日撮影、湘西=新華社配信)

湘西トゥチャ族ミャオ族自治州保靖県黄金村の冷寨河古茶園。(2023年7月撮影、湘西=新華社配信)

湘西トゥチャ族ミャオ族自治州保靖県黄金村で生産される保靖黄金茶の優良種「黄金2号」。(2024年3月撮影、湘西=新華社配信)

里耶秦簡が出土した里耶古城遺跡で、考古学専門家の竜京沙(りゅう・けいさ)氏(右から2人目)から遺跡保護の現状を聞き取る滕樹静氏(中央)。(2025年11月19日撮影、湘西=新華社配信)
改修を終えた湘西トゥチャ族ミャオ族自治州竜山県の里耶古城遺跡。(2025年10月28日撮影、湘西=新華社配信)
里耶古城(秦簡)博物館で秦簡の細部を見る人。(2025年10月28日撮影、湘西=新華社配信)

湘西トゥチャ族ミャオ族自治州保靖県黄金村にある樹齢400年以上のチャノキの古木「茶樹王」。(2023年撮影、湘西=新華社配信)