【新華社貴陽2月5日】中国貴州省に伝わる伝統刺しゅう「黔繍(けんしゅう)」は、ミャオ族やトン族など少数民族の文化を基盤とし、自然風景やトーテム信仰をモチーフにした刺しゅうとして知られる。職人の細やかな手仕事によって、地域の暮らしや民族文化を今に伝えてきた。
黔繍文化の普及と継承に取り組む楊麗(よう・れい)さんは、この15年間で貴州省内の村寨の約7割を訪れ、ミャオ族、トン族、プイ族、シュイ族などに伝わる20種類余りの刺しゅう技法を収集してきた。山間部に点在していた技法や図案を体系的に整理し、無形文化遺産としての保存と発信を進めている。
楊さんによると、「葉脈刺しゅう」は宋代に起源を持つとされ、かつては貴州の一部民族が情報を伝えるために用いていたという。楊さんは、こうした伝統技法を基礎に研究を重ね、長年途絶えていた葉脈刺しゅうの両面刺しゅうやチェーンステッチなど、20種類余りの針法を再現、発展させた。
作品には、ミャオ族のチョウ文様、トン族の鼓楼の意匠、シュイ族の馬尾繡に見られる唐草文様など、各民族を象徴する図案が取り入れられている。これまでに制作した作品は100点を超え、貴州各民族の文化的記憶を伝えるものとなっている。
こうした葉脈刺しゅうの作品は、フランスや米国、イタリア、カンボジアなどから訪れる芸術愛好家の関心も集め、国内外の展覧会で評価を受けている。
現在、楊さんは地元政府の支援を受け、「村寨を拠点とした生産体制」と「古城での展示・発信」を組み合わせた継承モデルの構築を進めている。この取り組みにより、200人以上の刺しゅう職人が自宅や地域で働きながら安定した収入を得られる環境づくりが進められている。(記者/劉勤兵、姚固昆)