
異なる材質の不規則な表面に密着して張り付けられた回路。(天津=新華社配信)
【新華社天津1月20日】中国天津市の天津大学精密測試技術・儀器全国重点実験室の黄顕(こう・けん)、国瑞(こく・ずい)両氏のチームはこのほど、清華大学深圳国際大学院の汪鴻章(おう・こうしょう)氏のチームと共同で、液体金属回路と熱可塑性フィルムを用いた「熱収縮作製手法」を提唱し、フレキシブルエレクトロニクスとスマートセンシング分野で重要な進展を得た。研究をまとめた論文は12日、国際学術誌ネイチャー・エレクトロニクスに掲載された。
人工関節やスマートヘルメット、自動車の曲面タッチパネルなど不規則な3次元(3D)曲面上に高性能の回路を形成する場合、形状に沿って密着させにくく、精度も制御しづらい上、回路の断裂や信号の不安定化を招きかねない。
こうしたフレキシブルエレクトロニクス分野の難題に対し、研究チームは、加熱すると収縮して対象物を包み込むことができる一般的な熱可塑性フィルムを基材に採用。通常の金属が収縮時に断裂しやすい問題を解決するため、導電性が高く、流動性に優れた半液体金属材料を開発し、独自の印刷技術で平面フィルム上に回路を形成した。
この技術により、平面上の回路は約70度の温水や熱風で処理することで、リンゴや飛行機の翼、指先にも、あらかじめ設計された変形パターンに沿って素早く適応し、密着できる。
研究チームはエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)の分野で同技術を応用し、ロボットのアームや頭部に密着する触覚センサーアレイを作製してロボットに高感度の「電子皮膚」を持たせた。圧力と温度を感知するセンサーを統合した「スマートグローブ」も開発し、ロボットが触れて物体を識別できるようにした。
論文の筆頭著者、天津大学精密測試技術・儀器全国重点実験室、同大感知科学・工程系の蒋成傑(しょう・せいけつ)博士は「応用は幅広い産業分野に広がる可能性がある」と指摘。スマート農業であれば、果物や野菜の表面に薄型回路を貼り付けることで貯蔵や輸送時の温度・湿度をリアルタイムで監視でき、航空宇宙分野では航空機の翼に合わせた一体型の加熱回路を作製して効率的な除氷を実現できるとし、スマート医療では、スマート包帯を作ることで快適で精度の高い健康モニタリングが可能になると語った。