日本の歴史学者、中国侵略の歴史「否定の余地ない」

日本の歴史学者、中国侵略の歴史「否定の余地ない」

新華社 | 2025-12-24 18:26:19

 【新華社東京12月24日】中国の中央檔案館(公文書館)はこのほど、旧日本軍の細菌戦部隊として知られる「731部隊」について旧ソ連が作成した尋問記録の機密解除文書を公開した。文書は中国侵略戦争期間の日本の細菌戦が組織的で計画的な国家レベルの犯罪行為であったことを改めて裏付けた。

 新華社の取材に応じた愛知学院大学文学部の広中一成准教授(中国近代史)は、日本の侵略の歴史に否定の余地はなく、公開された文書は731部隊の罪行をさらに明らかにする上で重要な意義を持つと指摘した。

 文書には731部隊員の尋問記録、部隊の犯罪に関する調査報告書、旧ソ連の公的機関による内部通信文書が含まれ、対象期間は1939年5月11日から50年12月25日に及ぶ。

 広中氏は、731部隊は39年に日ソ間で起きたノモンハン事件でも細菌兵器を川に流したと指摘。「ソ連がこれほど早い段階で731部隊に注目し、調査をしていたことはあまり知られていなかった。今回の文書はとても重要ではないかと思う」と述べた。

 今回ロシアから提供された文書は、旧日本軍の細菌戦戦犯を裁いた49年12月のハバロフスク裁判に関する記録が中心で、裁判前、裁判中、裁判後の三つの時期にまたがる。裁判前の取り調べの過程が初めて明らかになり、731部隊の犯罪に関わった人物が200人以上いたことが分かった。中心的な戦犯や証人に対する重点的な証拠収集の後、最終的に戦犯12人を特定し、公開裁判を開いた。

 広中氏は、731部隊に関する資料があまり残っていない中でまとまった資料が公開されたことは、部隊の実態を解明していく上で非常に重要だと指摘。表向きは「防疫給水部隊」と称していた731部隊の実態が細菌兵器の開発であったということは、既に明らかになっていると強調した。

 731部隊は関東軍の一部隊だったが、細菌戦には陸軍参謀本部や陸軍省なども関与し、組織的な行動だったとも指摘。細菌戦の実施には参謀本部の指示があり、陸軍省や関東軍からの資金援助もあり、軍医学校の研究の一環でもあったとし「作戦面や資金面で緊密なネットワークがあり、組織的に細菌戦を行っていた」と述べた。

 関東軍は45年8月11~15日、複数の特別列車を運行し、優先的な通行を指示した。731部隊のメンバーはこの列車で黒竜江省のハルビンを出発し、吉林省の通化や遼寧省の安東(現在の丹東市)、朝鮮半島の釜山を経て、船で日本に逃亡した。旧日本軍は敗戦後、関連資料を廃棄し、その罪行と歴史の真相を意図的に隠ぺいした。

 広中氏は、731部隊に限らず、日本は敗戦時にさまざまな資料を廃棄しており、そこから戦争の歴史を否定し、塗り替える余地が生じたと指摘。日本国内では今も南京大虐殺や731部隊の存在を疑問視する声があるが、いかなる理由であれ日本の侵略の歴史、加害の事実、中国人民に与えた苦難は否定できないと強調し「日本の今後の世代は冷静かつ客観的に歴史を見ていってほしい」と語った。(記者/楊智翔、陳沢安、邱虹)

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