
【新華社ソウル12月17日】韓国外務省の報道官は15日、日本が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出した佐渡金山に関する報告書に朝鮮半島出身者の強制労働についての記述が依然としてなかったとし、日本に対し、ユネスコ世界遺産委員会の決定と自らの約束を忠実に履行し、朝鮮半島出身者を含む、被害を受けた全ての労働者を真摯(しんし)に追悼するよう促した。
報道官によると、ユネスコ世界遺産委員会は、日本が提出した佐渡金山の保全状況に関する報告書をホームページに公開した。同委員会は2024年7月、佐渡金山の世界文化遺産登録と同時に、日本側に8項目の勧告を行い、履行状況を説明する報告書の提出を求めていた。
同委員会は勧告で、推薦資産に関する「全体の歴史」を包括的に扱う説明・展示戦略の作成、関連施設の整備を求めており、朝鮮半島出身者の強制動員という歴史的事実を含めることがその柱とみられていた。だが今回の報告書によれば、日本は、佐渡金山近くの相川郷土博物館にある朝鮮半島出身労働者に関する展示内容と、労働者宿舎の跡地について説明を改善したにすぎない。強制動員という核心的な事実は、依然として遺産の「現場レベル」のどこにも示されていない。
報道官は、遺産の「現場レベルで全体な歴史を包括的に扱う」というユネスコ世界遺産委員会の勧告を日本政府が忠実に履行しておらず、自らの約束も果たせていないと批判。韓国政府は日本に対し、ユネスコ世界遺産委員会でこれまでに採択された全ての決定と、それに対する自らの約束をしっかりと心にとどめ、朝鮮半島出身者を含む、犠牲となった全ての労働者を真摯に追悼するよう強く促すとした。
韓国メディアの報道によると、新潟県佐渡島にある佐渡金山では第2次世界大戦中、日本が戦争物資の供給を確保するために強制動員した朝鮮半島出身の労働者約1200人が過酷な重労働に従事していた。劣悪な労働環境と度重なる抑圧により、多くの労働者が後にじん肺などで死亡した。