
13日、細菌戦に関する資料を読む宮文婧研究員。(ハルビン=新華社記者/何山)
【新華社北京12月17日】中国の中央檔案館(公文書館)は南京大虐殺犠牲者国家公祭日(追悼日)に当たる13日、旧日本軍の細菌戦部隊として知られる「731部隊」について旧ソ連が作成した尋問記録の機密解除文書を公開した。一部の記録は今回が初公開となり、幅広い注目を集めている。ハルビン市社会科学院731問題国際研究センター主任の宮文婧(きゅう・ぶんせい)研究員に、その内容や価値、意義について話を聞いた。
宮氏によると、今回ロシアから引き渡された文書は、旧日本軍の細菌戦戦犯を裁いた1949年12月のハバロフスク裁判に関する記録が中心で、裁判前、裁判中、裁判後の三つの時期にまたがる。そのうち裁判前の取り調べの記録は初めて公開されるもので、戦犯の尋問記録、戦犯同士の対質報告(供述の突き合わせ)、戦犯自筆の陳述書などが含まれる。
公開された貴重な史料には、ロシアの医学専門家が日本の細菌戦犯罪を医学的観点から鑑定した報告書も含まれている。この報告書は日本の細菌戦犯罪を初めて「人類全体の破滅」を目的とするものと位置付け、日本による非人道的な残虐行為を裏付ける歴史的な文書となっている。
新たな史料は、中国に保存されている731跡地の状況や731部隊の記録文書と符合し、証拠の連鎖を形成している。731部隊の人道に対する罪が動かぬ事実であることが確固たる証拠によって改めて裏付けられ、日本の細菌戦が周到な計画に基づき、上意下達で遂行された、組織的で体系的な国家犯罪であったことを証明している。

13日、新華社のインタビューに応じる宮文婧研究員。(ハルビン=新華社記者/何山)
今年は、中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利80周年に当たり、戦時における民間人や捕虜の保護などを定めたジュネーブ条約の署名100周年でもある。宮氏は、この重要な節目に、ロシアから引き渡された記録と中国の証拠が合わさり、動かぬ証拠として日本の中国侵略の罪を暴き、日本の右翼的な歴史観に反撃することは、日本の右翼勢力の復活と再軍事化をあおる誤った潮流を押し返す大きな役割を果たすと指摘した。
宮氏は史料公開が中国とロシアの協力で実現したことについて、平和を愛する多くの国や人々と協力し、第2次世界大戦の勝利の成果を守り、戦後の新たな国際秩序を守り抜く中国の決意の表れだと指摘。社会的正義や歴史的正義を守ろうとの声を国際社会に発することにもなると説明した。
日本の中国侵略における戦争犯罪の発掘や公開に、ますます多くの国際的な平和の力が参加するようになっている。宮氏はこうした新たな傾向について、日本の右翼勢力の復活を防ごうとする国際社会の共同の意思を示していると分析した。
宮氏は最後に、平和と正義を守ることは全世界の人々の共通の願いだと強調し、「われわれはまだ途上にいる。これからもさらに多くの歴史の真実を掘り起こし、公表する努力を続け、世界が歴史をより理解し、記憶し、平和を大切にするよう努めていく」と述べた。(記者/許芸潁、楊思琪)