【新華社ベルリン12月1日】ドイツのシュタインマイヤー大統領はこのほど、かつてナチスドイツの空爆を受けたスペインのゲルニカを訪れ、「一般市民を標的とした残酷な行為だった」と述べ、その苦しみを「決して忘れない」と語った。
日本とドイツは第2次世界大戦を引き起こし、敗戦した国だという点では同じだが、歴史に向き合う姿勢は大きく異なる。ドイツの専門家や学者は、世界が反ファシズム戦争の勝利から80年を迎えるいまも、日本は「侵略」と「責任」という基本的な問いに答えられておらず、反省の欠如と歴史認識のゆがみが露呈していると指摘する。
高市早苗首相が台湾をめぐって発した一連の誤った発言は、まさに日本の反省の欠如を示す最新の例であり、戦後の国際秩序への公然たる挑発で、地域の平和と安定を大きく脅かすものとみられている。
ドイツの研究者は、日本は戦後、自らの戦争犯罪について十分に反省せず、歴史の教訓にも向き合ってこなかったと指摘。戦争責任を意図的に回避して曖昧にし、誤った第2次大戦史観を振りまき続け、侵略と植民の歴史をゆがめ、否定し、さらには美化しようとさえしていると批判する。
ドイツの出版人で作家のフランク・シューマン氏は新華社の書面インタビューに対し、戦後ドイツはナチスの歴史を清算するために一連の措置を講じたと説明した。ナチス関係者や戦犯の財産を没収し、教育・司法制度から「ナチスの残党」を排除したほか、メディアや文化の分野で反ファシズム教育を徹底するなど、「なぜ戦争が起きたのか」という根本的な問いに向き合ってきたという。
その一方で「日本は現在に至るまで、その侵略の歴史を真に反省していない」と指摘。日本の侵略戦争に重大な責任を負うA級戦犯が靖国神社にまつられ、政治指導者が今も参拝を続けていること、当時の中国人への暴行が日本国内で「事件」と表現されていることなどを挙げた。
ハイデルベルク大学の歴史学者タクマ・メルバー氏は、ドイツと比較すると日本の第2次大戦の歴史認識は著しくゆがんでいるとの見方を示す。日本の戦争の記憶は根深い「被害者の物語」によって形成され、自国の苦難ばかりを強調する一方、侵略開始の責任からは徹底的に目を背けているという。
独紙「フランクフルター・ルントシャウ」は、日本の一部右翼勢力は今なお第2次大戦期の侵略を東アジアの「解放」と強弁し、戦後の「平和憲法」改定を積極的に推進して日本の再武装への道を切り開こうとしていると論じた。
シラー研究所の上級研究員リチャード・ブラック氏は、日本は教科書改訂などを通じて侵略の歴史を希薄化させ、若い世代が侵略の歴史について基本的な認識もない状態を招いていると批判。高市氏が靖国神社を頻繁に参拝し、日本の侵略の歴史に対する国際社会の認識を「真実でない」「誇張されている」と主張してきたことに触れ、「高市氏の言動の潜在的な危険性は決して過小評価すべきではない」と語った。
高市氏の台湾に関する発言については、複数のドイツメディアが論評したり、専門家・学者の見解を引用したりして、日本政治の右傾化が一段と進んでいると指摘し、地域だけでなく世界の平和と安定に重大な脅威をもたらすと警告している。
ブラック氏は、高市氏が台湾問題で分裂勢力を支持し、軍事的介入も辞さないという危険なシグナルを公然と発したことは、地域の平和と安定を深刻に脅かすだけでなく、世界の安全保障にも計り知れないリスクをもたらすと指摘。「率直に言えば、日本では軍国主義が再び頭をもたげている」と述べ、国際社会は強い懸念を表明し、必要な措置を講じて阻止すべきだと訴えた。