中国の科学者、足跡化石から獣脚類恐竜の行動解明

中国の科学者、足跡化石から獣脚類恐竜の行動解明

新華社 | 2025-11-30 15:02:30

四川省自貢市富順県で見つかった獣脚類恐竜の足跡化石。(北京=新華社配信)

 【新華社北京11月30日】獣脚類恐竜は、大半が二足歩行し、鋭い歯を持つ肉食恐竜だった。中国の科学者は、四川省で発見された前期ジュラ紀の獣脚類恐竜の足跡413個の研究を通じて初期の獣脚類恐竜の多様性や移動方法、行動特性を解明し、研究成果を28日付の学術誌「古地理学報」(英語版)電子版に発表した。

 研究対象となった足跡化石は2017年、四川省自貢市富順県で見つかった。鶏の爪のような跡が一面に残された帯状の石板で、重要な恐竜足跡化石として博物館に移送され、自貢恐竜博物館や中国地質大学(北京)らの共同研究チームが調査を進めていた。

四川省自貢市富順県で見つかったエウブロンテスの足跡化石。(北京=新華社配信)

 恐竜研究が専門の中国地質大学(北京)の邢立達(けい・りつたつ)副教授によると、今回の研究の中心となった標本は石板8枚で、表面に3本指の獣脚類の鮮明な足跡413個が残っており、密度は極めて高かった。研究では、足跡の大半が小型獣脚類の足跡類型グラレーターと推定され、長さは平均約14・5センチ、丸い足指の跡と鋭い爪痕が鮮明に残っていた。一部の大きな足跡はエウブロンテスに分類され、長さは最大22・5センチに及んだ。

 研究者らは、足跡の精密な測定や生体力学分析に基づき、これらの小型獣脚類恐竜が現代の鳥類に似た足裏を地面に着実に接地させる走り方をしていた可能性があると推測。移動速度を時速5・8~8・6キロ程度と算出した。

研究チームが作成した警戒行動で尾の跡を残した恐竜の想像図。(北京=新華社配信)

 化石表面に残る複数の細長い痕跡の3次元モデルを用いた分析では、数本の尾の跡も見つかった。尾の跡は浅く、長さ20~40センチ、幅約2~3センチで、恐竜の尾が地面に接触した痕跡と確認した。邢氏は「二足歩行恐竜の尾の跡は非常に少なく、尾跡が形成された原因についても見解が分かれている」と述べた上で、これらの尾跡は湖岸付近で低速で移動したり、立ち止まって周囲をうかがったり、仲間同士のやり取りの中で攻撃的な姿勢を示したりした結果残された可能性が高いと説明した。

 邢氏は、今回の発見によって前期ジュラ紀の四川盆地の恐竜動物群に対する理解が深まったと説明。世界に分布する典型的な足跡の類型に重要なアジアの実例を提供しただけでなく、初期の獣脚類恐竜が鳥類のような移動能力を持ち、複雑な行動をしていた可能性を示し、古生態系の再構築に新たな視点をもたらしたと語った。(記者/魏夢佳)

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