
研究の模式図。アルパカの体内からナノボディを抽出し「カクテル」にして、SFTSに感染したマウスとフェレットを治療。(南京=新華社配信)
【新華社南京11月27日】中国の南京大学はこのほど、マダニを通じて感染し現在特効薬のない「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に対し、同大学医学院の呉喜林(ご・きりん)教授チームと中国の複数の機関が共同で、高効率で広域スペクトルの抑制効果が期待できるナノボディ(ラクダ科の動物が産生する特殊な抗体から作られたタンパク質)の組み合わせを開発したと明らかにした。来年のSFTS多発期に臨床研究を開始する予定という。関連成果は同日、国際学術誌「Science Translational Medicine」の巻頭論文として掲載された。
呉教授によると、ダビエバンダウイルス(SFTSウイルス)の感染によって引き起こされるSFTSは、毎年4~9月が多発期で、芝生や屋外で遊んでいる際に、うっかりマダニにかまれると感染する可能性がある。

20日、学生とナノボディの小規模試験精製作業について議論する呉喜林教授(中央)。(南京=新華社配信)
研究者はアルパカにさまざまな亜型のSFTSウイルス抗原の免疫を獲得させ、高い親和性のある複数のナノボディをスクリーニングした。動物実験では、4歳のフェレットを用いて60歳以上の高齢者の免疫レベルをシミュレーションした。その結果、「カクテル療法」で治療したSFTSウイルス感染フェレットは1匹も死なず、体内のウイルス量が検出不能なレベルにまで減少し、血小板の指標と組織損傷の程度も著しく改善した。
チームは既にこの抗体組み合わせの薬物動態学、毒性学、スケールアップなど前臨床研究を開始しており、来年のSFTS多発期に臨床研究を実施する計画という。(記者/陳席元)