
営前村墓地出土の陶罐と陶壺。(青島=新華社配信)
【新華社青島11月25日】中国山東省の青島市文物保護考古研究所は今年3月から5月にかけ、同市黄島区博物館と合同で戦国~秦漢時代の営前村墓地の考古学調査を行い、墓13基や井戸6本、灰溝9カ所など各種遺構51カ所を発掘、銅印章や玉具剣、陶罐(とうかん)など貴重な遺物112点(組)が出土した。
中でも1号井戸の底で見つかった「琅(ろう)県」銘の泥質灰陶罐と2号井戸の底で出土した同銘の泥質灰陶破片が最も重要な成果となった。専門家によると「琅県」は秦代に設置された「琅邪(ろうや)県」の略称を意味する。

営前村北遺跡H2(J1)で出土した大量の瓦片が堆積した平面。(4月撮影、青島=新華社配信)
青島市文物保護考古研究所の彭峪(ほう・よく)副主任は「琅県」銘の出土品について「秦が琅邪に郡県を設置したことを直接裏付ける最初の官製印章類遺物だ」と述べた。
呂雅婷(ろ・がてい)助理館員は、今回の発掘では古井戸が遺物の保存に重要な役割を果たしたと紹介。「井戸の底の泥は酸素が少なく、当時の人々が落とした物が酸化されずに残った」と語り、古井戸は廃棄後もゴミ捨て場として使われることが多く、生活遺物がある程度残されていると説明した。

営前村北遺跡のM3墓を発掘する発掘隊員。(4月撮影、青島=新華社配信)
1号井戸で見つかった泥質灰陶罐は、罐の底近くの外壁に「琅県」銘が残されていた。その後に2号井戸の底で見つかった泥質灰陶破片にも同様の銘があり、両者を比較した結果、銘の位置や文字の形が基本的に一致した。
井戸の近くでは手工業工房の遺構も見つかった。調査隊員は「琅県」銘という公的な属性を考慮し、二つの陶器が手工業工房と関係があるとの見方を示している。

営前村北遺跡の方坑分布エリア。(4月撮影、青島=新華社配信)
呂氏は「琅県」銘が文献の記述を裏付けているとし、琅琊台遺跡で発見された秦代の高等級建築群や窯跡などの遺構とともに、秦王朝が琅邪地域に郡県を設置した歴史を証明していると語った。(記者/王凱)

営前村北遺跡の俯瞰図。(青島=新華社配信)

営前村北遺跡で出土した土器片、瓦片の洗浄作業。(青島=新華社配信)