17日、東京都内のカフェを利用する男性。(東京=新華社記者/賈浩成)
【新華社東京11月22日】日本の高市早苗首相が台湾をめぐって行った挑発的な発言が、国内外から強い反発を招き、日本の観光業にも深刻な影響を及ぼしている。日本の株式市場では今週、中日関係の悪化懸念からインバウンド(訪日観光)関連株が全面安となった。予約キャンセルが相次ぎ、観光業者からは「非常に厳しい状況だ」との声が上がっている。
東京にある東日本国際旅行社の関係者によると、中国からの団体ツアーのキャンセルは17日には全体の1割程度だったが、18日には7割にまで急増した。多くの観光客が様子を見ている状態で、残りの3割の予約もキャンセルとなる可能性が高いという。同社によると、12月の予約のうち、修学旅行団や企業・行政の交流団など約20件がすでに取り消されている。
中国人観光客に人気の北海道では、観光業に大きな影響が広がっている。中国人宿泊客を月平均3千人受け入れているという札幌市の「SAPPORO STREAM HOTEL」の清水賢司支配人によると、中国が訪日旅行の注意喚起を出して以降、約70件のキャンセルがあった。「春節(旧正月)や雪まつりなどのインバウンドのピークシーズンが近い。繁忙期にまで影響が広がらなければいいのだが」と話す。
16日、東京でシャッターを半分閉めた店舗の前を歩く歩行者。(東京=新華社記者/賈浩成)
日本メディアによると、北海道は20日午前に緊急会議を開催した。道総合政策部の中村昌彦部長は「一部宿泊施設と航空便で中国人観光客のキャンセルが出始めており、冬の需要期を前に影響が懸念される」と述べ、対応を検討する方針を示した。
古屋市で観光ハイヤー業務に携わる李静(り・せい)さんは、中国からの団体ツアーの車両手配が次々とキャンセルとなり、「12月の中国人観光客の予約はすべてなくなった」と嘆く。突然の「寒波」で会社の経営は急激に圧迫され、従業員の生活にも影響が出ているという。
横浜銀行のシンクタンク、浜銀総合研究所の白鳳翔(はく・ほうしょう)主任研究員はメディアに対し、団体旅行キャンセルの影響は「12月ごろから大きく出てくるだろう」との見方を示している。
中国駐東京観光代表処の欧陽安(おうよう・あん)首席代表は、高市氏の誤った発言はすでに中日の文化・観光交流に実質的な影響を及ぼしていると指摘。中国政府が旅行や留学に関する注意喚起と警告を発表する中、航空会社も日本行き航空券の無料キャンセル・変更に応じており、中国人観光客の訪日意欲は一段と低下していると述べた。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、中国政府の注意喚起により、日本の今後1年間の観光収入が約1兆7900億円減少し、実質国内総生産(GDP)を0・29%押し下げるとの試算を示している。(記者/胡暁格)