甲午戦争の沈没艦3隻、山東省の水中文化財保護区に指定

甲午戦争の沈没艦3隻、山東省の水中文化財保護区に指定

新華社 | 2025-11-16 15:48:30

「定遠」の装甲を引き揚げる調査隊の作業船。(2020年9月18日撮影、済南=新華社配信)

 【新華社済南11月16日】中国山東省はこのほど、同省唯一の水中文化財保護区の範囲に中日甲午戦争(1894~95年)で沈没した清朝北洋海軍の巡洋艦「来遠」「靖遠」の遺跡を加え、名称を「威海湾甲午沈没艦遺跡」に変更した。今回の範囲調整により、威海湾で発見された甲午戦争の沈没艦は既に指定されている戦艦「定遠」を含む3隻が水中文化財保護区に組み込まれた。

 今回の調整では保護区の範囲拡大に加え、保護要件も明確にし、文化財の安全を脅かす漁獲行為や爆破、建設工事などを禁止した。

「靖遠」のホッチキス砲弾の弾薬箱を回収する調査隊員。(済南=新華社配信)

 今年は中日甲午戦争終結から130周年に当たる。1895年に威海湾で行われた最後の海戦で北洋艦隊は多くの艦船を失い、艦隊は壊滅した。

 複数の考古学機関による共同チームは2017~23年にかけ、威海湾で甲午戦争沈没艦の水中考古学調査を実施。海底に100年埋もれていた軍艦を調査し、保護措置を講じた。

 最初に見つかったのは定遠で、当時は世界最先端の軍艦として北洋艦隊の二大主力装甲艦の一翼を担ったが、海戦の敗北が避けられない中、北洋艦隊の提督・丁汝昌(てい・じょしょう)が日本軍の手に渡るのを防ぐため、苦渋の決断で爆破させた。

威海湾に沈む「来遠」で、砂を取り除く調査隊員。(済南=新華社配信)

 山東省政府は2022年1月、第1次水中文化財保護区を発表し、定遠を「威海湾1号沈没艦遺跡」として指定した。同年には、北洋艦隊の主力巡洋艦だった「来遠」「靖遠」も確認された。

 2023年に終了した威海湾甲午戦争沈没艦遺跡の水中考古調査は、沈没艦3隻を確認し、引き揚げた重要遺物は3千点以上に上った。

威海湾に沈む「来遠」から引き揚げた艦名刻印のある銅製スプーン。(済南=新華社配信)

 国家文物局考古研究センターの周春水(しゅう・しゅんすい)研究館員は、今回の水中考古調査は14~21年に黄海海域で実施した甲午沈没艦の調査とともに「中国甲午沈没艦シリーズ水中考古調査・研究事業」を構成していると説明。世界で規模が最も大きく、期間も長く、多くの成果を上げた海戦遺跡考古プロジェクトになったと語った。(記者/李志浩)

威海湾で、水中から引き揚げた「靖遠」のクルップ砲弾を計測する調査隊員。(済南=新華社配信)

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