
X(旧ツイッター)に寄せられた高市氏の発言を批判する投稿。(北京=新華社配信)
【新華社北京11月15日】日本の高市早苗首相はこのほど、「台湾有事」は日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得ると公然と述べ、台湾海峡問題への武力介入の可能性を示唆した。中国側による度重なる厳正な申し入れの後も誤りを改めず、国会で「従来の政府の立場を変えるものではない」と強弁、撤回を拒否している。
高市氏の発言は、中国と日本だけでなく国際社会からも注目され、強い批判を招いている。「一つの中国」原則を無視し、地域の緊張を高めるこの発言に、多くの人々が深い懸念を示している。
中国外交部の報道官は「日本の為政者が台湾海峡問題への介入を企てることは、国際的正義を乱暴に踏みにじり、戦後の国際秩序に公然と挑戦するものであり、中日関係に重大な損害をもたらす。日本が台湾海峡情勢に武力介入すれば、それは侵略行為に当たり、中国は必ず正面から痛烈な反撃を加える」と繰り返し表明している。
孫衛東(そん・えいとう)外交部副部長は13日夜、金杉憲治駐中国大使を呼び出し、高市首相の中国に関する誤った言動について厳正な申し入れを行い、次のように指摘した。高市氏の台湾をめぐる発言は極めて危険な誤ったもので、中国の内政への乱暴な干渉であり、国際法と国際関係の基本準則に著しく背き、戦後の国際秩序を大きく損なっている。「一つの中国」原則と中日間の四つの政治文書の精神に対する重大な違反であり、中日関係の政治的基礎を著しく損ない、中国人民の感情を深く傷つけた。14億の中国人民はこれを断じて容認しない。
高市氏の発言は、日本政府がこれまで取ってきた台湾問題に関する慎重な表現を打ち破るものであり、日本国内でも大きな波紋を呼んでいる。石破茂前首相は13日放送のラジオ番組で「台湾問題で『この場合はこう』と断定することは歴代政権が避けてきたことだ」と指摘。多くの日本の学者や政治家、市民団体が、高市発言は日本の長年の対中政策から逸脱しており、地域の平和と安定にとって好ましくないと訴えている。
名古屋外国語大学の川村範行名誉教授は新華社の取材に対し、高市氏の関連発言はすでに中日関係に深刻な影響を及ぼしているとし、「事態をこれ以上悪化させてはならず、早期に火消しにかかるのが外交上の喫緊の課題だ」と述べた。
X(旧ツイッター)上でも多くのユーザーが批判の声を上げている。発言の撤回を求める野党に対する高市氏の「従来の政府の立場を変えるものではない」という答弁は「虚言」だとし、「歴代政権は台湾有事が『存立危機事態』か明示していない」と指摘した投稿は71万以上の表示回数を数えている。多くのユーザーが高市氏を「外交常識に欠ける」と批判し、誤った発言の撤回を求めている。

高市氏の発言の危険性を指摘するX(旧ツイッター)の投稿。(北京=新華社配信)
危険な発言は世界各地のユーザーの注目と懸念を集めている。あるユーザーは、高市氏は台湾問題をめぐって中国に開戦をちらつかせているとし、「これまで最も右とされた日本の首相ですら触れようとしなかったタブーを破った」「世界を戦火へと追い込むことに取りつかれているようだ」と投稿。多くの人々が、日本の首相の発言は明らかに地域の緊張を高めているとし、台湾問題を政治的利益のために利用すべきではなく、対話と外交を通じた地域の安定を優先すべきだとコメントしている。(記者/邱虹、胡暁格)