
11日、「天工開物」円卓会議で行われた「天工開物文化世界普及プロジェクト」の始動式。(北京=新華社配信)
【新華社北京11月11日】中国明代の産業技術書「天工開物」の知恵を、現代の技術革新と国際協力に役立てる方法を模索する「長江文化フォーラム・天工開物円卓会議」が11日、北京市で開かれ、科学技術や文化、経済、行政分野の専門家・学者、業界代表が「産業遺伝子の解読、世界の科学技術のオープンソース化」のテーマを巡り議論を交わした。
出席した専門家たちは「天工開物」の現代的価値を高く評価し、農業や手工業など当時の技術を体系的に記録しているだけでなく「天工開物(自然の恵みを人が開発する)」「格物致知(物事の道理を極め、真の知識に到達する)」などの哲学思想や、実践と革新を重んじる職人精神を体現していると指摘。同書が伝える「産業の遺伝子」を体系的に整理、解釈することは、中国の産業文化の系譜をたどり、科学技術文化への自信を高め、さらには人工知能(AI)や先進製造業などの産業発展を導く上でも重要な意義を持つとの見方を示した。

11日、「天工開物」円卓会議の会場で記念撮影する外国人出席者。(北京=新華社配信)
基調講演では、専門家らが「天工開物」は当時の先進技術を体系的に記録し「オープンソース」として広く伝えており、その精神の中核は今の時代のオープンサイエンスや協働イノベーションと多くの部分で重なるとの認識を共有。世界的な科学技術の課題や発展に対しては開放的で包摂的な知恵を広め、国際的なオープンソース協力を強化し、イノベーションのプラットフォームを共同で構築し、分かち合うことが科学技術の進歩を加速させ、世界に恩恵をもたらす必然的な選択になると主張した。
円卓対話では、伝統的な物づくりの知恵と現代の先端技術との融合が持つ潜在力、現代における職人精神の継承、中国文化の特色を備えた技術革新の倫理とパラダイムの構築について議論を深めた。

11日、「天工開物」円卓会議の会場に展示された無形文化遺産「夏布刺繍(ししゅう)」の作品。(北京=新華社配信)
「天工開物」が刊行されたのは江西省新余市分宜県で、文中に記された科学技術や工芸の多くが新余に由来する。同県はここ数年、「天工開物」を文化ブランドと位置付け、産業文明の継承や産業の高度化、文化と観光の融合促進などに積極的に取り組んでおり、伝統文化の資源が地域の質の高い発展を効果的に後押しする道筋を示している。
フォーラムは新華社ニュース情報センターと新華社江西支社が主催し、新余市共産党委員会・政府が運営を担った。(記者/彭純、呉寒氷)

11日、「天工開物」円卓会議の会場で、スタンプラリーに参加する会議出席者。(北京=新華社記者/呉寒氷)

11日、「天工開物」円卓会議の会場に展示された関連グッズ。(北京=新華社配信)

11日、「天工開物」円卓会議の会場で披露された舞踊劇「天工開物」。(北京=新華社配信)

11日、「天工開物」円卓会議の会場に展示された「二十四節気」関連グッズ。(北京=新華社記者/呉寒氷)

11日、「天工開物」円卓会議の会場に展示された模型。(北京=新華社記者/呉寒氷)