中国の科学者、5億年前の「地下住居」化石を発見

中国の科学者、5億年前の「地下住居」化石を発見

新華社 | 2025-11-04 11:32:15

石板灘生物群の研究で研究者が命名した「旋脊鋸形跡」。(南京=新華社配信)

 【新華社南京11月4日】中国科学院南京地質古生物研究所は10月30日、同研究所の初期生命研究チームが湖北省宜昌市の石板灘生物群で、複雑な立体構造をもつ巣穴の生痕化石(生物の活動痕跡が残された化石)を初めてまとまった形で発見したと発表した。化石の年代は約5億5千万年前で、現時点で最も古い複雑な三次元動物巣穴化石の一つとされる。

 生物の複雑な掘削行動の明確な出現時期を約1千万年さかのぼらせる発見であり、研究をまとめた論文は10月30日、国際学術誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。

 研究チームが発見した生痕化石はきわめて複雑で、約5億5千万年前の古代生物が海底の泥に「潜り、掘り、広げ、住んだ」様子を忠実にとどめていた。ジグザグ状や階段状の痕跡もあり、巣穴生物が規則的かつ反復的に前進し、探索していたことも分かり、「前室」「通路」「食堂」など複数の機能空間を備えた「メゾネット型マンション」のような形状も見られた。研究チームはジグザグ形の痕跡をもつ化石について、「旋脊鋸形跡(せんせききょけいせき)」と命名した。

石板灘生物群で見つかった生痕化石の復元図。(南京=新華社配信)

 三峡地区に位置する石板灘生物群の地質年代は約5億5千万年前から5億4300万年前。エディアカラ紀からカンブリア紀への移行期の要の時期とされる。

 研究を主導した南京地質古生物研究所の陳哲(ちん・てつ)研究員はこれらの複雑な「地下工事」の発見について「古代の虫が巣穴を掘ったという事実の証明をはるかに超える意義を持つ。当時の生物の能力に対する認識は根底から覆された。古代生物の生態空間の利用は約5億5千万年前に平面から立体へ根本的な転換を遂げていた」と指摘。当時の「掘削者」たちの行動は一部の生物が依存していた生活基盤を破壊して生存空間や資源をめぐる激しい競争を引き起こしただけでなく、海底をかき混ぜ、酸素や栄養分の循環と分布を変化させた可能性もあるとし、既存の生態バランスが崩れて新たな生態的地位が生まれたことで、その後のカンブリア紀に多様な生物が出現する舞台を整えたとの見方を示した。(記者/王珏玢)

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