
富士フイルムビジネスオープンイノベーションセンター深圳分センターの内部。(10月16撮影、深圳=新華社配信)
【新華社深圳11月3日】中国広東省深圳市南山区でこのほど、富士フイルムビジネスイノベーション(BI)の中国法人、富士膠片商業創新が開設した「富士フイルムビジネスオープンイノベーションセンター」深圳分センターが運営を開始した。製品展示や技術体験、顧客との共創、ソリューション・インキュベーションを一体化した施設で、富士フイルムグループの中国における事業展開のさらなる拡大を示すとともに、最近の日系企業による粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)への進出加速を示す生きた事例となっている。
2025年は、富士膠片商業創新が中国で事業を始めて30年目に当たる。富士フイルムグループ傘下で文具・印刷機器の研究開発・生産などに特化した同社は、中国国内に12の支店と三つの全額出資子会社を展開してきた。中国法人の中村達也董事長兼総裁は深圳オープンイノベーションセンターについて「現地の顧客や技術パートナー、大学、政府機関と共同で革新的なソリューションやアプリケーションを創出し、互いに能力を高め合う場所だ」と語った。
富士フイルムビジネスオープンイノベーションセンター深圳分センターを見学する人たち。(10月16撮影、深圳=新華社記者/王豊)
広東省は日本企業にとって重要な投資先であり続けてきた。1980年代の電子機器の組み立てから、21世紀の自動車産業チェーンへの深い融合、そして現在の新エネルギーやバイオ医薬などの新興産業における協働イノベーションに至るまで、ますます多くの日本企業が研究開発センターや地域本部、全産業チェーンの配置で大湾区の比重を高めている。同省商務庁の朱小軍(しゅ・しょうぐん)副庁長によると、改革開放以来に日本が同省で設立した企業は累計3155社、実際の投資額は170億ドル(1ドル=約154円)に上っている。特に、今年1〜4月の日本から同省への実行ベース投資額は前年同期比48%を超える大幅な伸びを記録した。
既存の製造業だけでなく、日本の消費関連企業も大湾区に強い関心を示している。コンビニエンスストアのローソンは大湾区内に360店舗以上を展開しており、2022年には同省広州市黄埔区を拠点に選び大湾区本部プロジェクトを立ち上げた。21年に広州で中国内地1号店を開設した寿司チェーン店・スシローも、大湾区での出店ペースを加速させている。
英調査会社オックスフォード・エコノミクス在日代表の長井滋人氏は、大湾区はその充実したサプライチェーンと産業集積によって、ここ数年ますます日本企業から人気を集めていると指摘。また、中国では人工知能(AI)やビッグデータなど一連の新興技術が発展しており、日本企業は中国既存の技術も活用できるとの見方を示した。(記者/王豊)