四角坪遺跡の発掘現場。(10月15日、ドローンから、隴南=新華社記者/陳斌)
【新華社蘭州11月3日】2023年度の中国十大考古新発見に選ばれた甘粛省隴南(ろうなん)市礼県の四角坪遺跡では、6年間の発掘調査を経てこのほど、希少な秦代闕門(けつもん=門の両脇に設けられた望楼状の建築)遺構が見つかった。考古学者は、これまでに出土した最も古い闕門跡の可能性を指摘している。
遺跡は礼県中心市街地の北東約2・5キロにある四格子山の山頂を人工的に平らにした台地にあり、明確な構造を持ち、壮大な雰囲気を感じさせる。中心に約900平方メートルの方形の版築(はんちく=土を幾層にも突き固める工法)基礎があり、東西南北にそれぞれ3組の平行な門塾建築(門の両側に設けられた堂舎)、四隅には曲尺(かねじゃく)形建物が配置され、建築面積約2万平方メートルの中軸対象の建築群を構成していた。規模が大きく、整然とした秦代の大型祭祀(さいし)建築群は、国家の祭祀変革と中国「大一統」の歴史プロセスを体現していた。

四角坪遺跡の発掘現場。(10月15日、ドローンから、隴南=新華社記者/郎兵兵)
2024年夏、考古学者は遺跡西側の第2、第3組の門塾建築の間で、二つの対称な闕台基壇からなる初期の闕門遺構を発見した。
甘粛省文物考古研究所の段濤(だん・とう)助理館員は「二つの闕台間に設けられた通路は、門塾建築の正門と一直線に通じ、中心の版築基礎に至る道となっていた。祭祀の際の通路だったとみられる」と説明。25年春には北側の同じ位置でも同じ形状の闕門遺構を発見したという。
四角坪遺跡の発掘プロジェクトの責任者、甘粛省文物考古研究所の侯紅偉(こう・こうい)副研究館員によると、闕門は宮殿や城壁、陵墓、祠廟(しびょう)などの正門両脇に設けられた祭祀的な建築物で、明確な等級を示す機能があった。漢代や唐代で最も高い等級の闕門は「三出闕」と呼ばれ、対称に配置された三重の闕台で構成されていた。闕門の発見は、四角坪遺跡が高等級祭祀建築であったことをさらに裏付けた。

四角坪遺跡の発掘現場で、闕門遺構を観察する発掘関係者。(10月15日、ドローンから、隴南=新華社記者/郎兵兵)
侯氏は今回見つかった闕門について「形状は後世のものほど成熟していないが、すでに原型をなしていた」と指摘。中国の闕門の起源と変遷を研究する上で重要な意義があると述べた。
陝西省考古研究院の田亜岐(でん・あき)研究員、甘粛省文物考古研究所の裴建隴(はい・けんろう)副研究館員などの専門家は、四角坪遺跡は秦人が宗廟建築や天を祭る畤祭(しさい)建築についで創り出した祭祀建築で国家の意志を表し、漢代の徳陽廟、王莽(おう・もう)の九廟、後の天壇、地壇の建築様式に影響を与えたとの見方を示した。(記者/郎兵兵、陳斌)