満足感重視の「のんびり旅行」、中国の若者に人気

満足感重視の「のんびり旅行」、中国の若者に人気

新華社 | 2025-10-20 22:59:15

甘粛省定西市安定区青嵐山郷の洞窟カフェでくつろぐ人々。(8月13日撮影、定西=新華社配信)

 【新華社北京10月20日】民宿に泊まり自然な目覚めで朝を迎える、歩かずエレベーターで山登り、水深50センチ足らずの浅瀬で川下り、一定の速度で降下するバンジージャンプ…。中国では最近、観光名所を巡らず、体力も使わず、のんびりとくつろぐ旅行が若者の間で人気を呼んでいる。

 最大の特徴は、従来の観光にあったような体力を使う場面を極力抑え、手軽に楽しめ、疲れることなく満足感を得られる体験をする点だ。今どきの若者は「3日間で8都市を巡る」ような過密スケジュールには興味がなく、「好きなだけ寝る」「ぶらりと街角のカフェに寄る」などのゆったりとした行動を好み、「最小限の体力消費で最大限にくつろげる」旅行を選ぶようになっている。

 分刻みの行程もなければ、「人気スポットを巡らなければ来た意味がない」という焦りもない。若い観光客は浜辺で昼下がりをのんびりと過ごし、古い路地裏で猫の足跡をたどって名もなき小吃(軽食)を見つけ、宿泊先の部屋で出前を取って窓から町のにぎわいを楽しむ。ネット上では、就職したばかりという若者の「仕事で疲れているので、リラックスできる方法を探したい」という投稿は、多くの人の本音を代弁している。

中国のSNSアプリ「小紅書(RED)」に投稿された「スローバンジージャンプ」関連の動画や写真のスクリーンショット。(資料写真、北京=新華社配信)

 需要の変化に伴い、「のんびり旅行」が体験できる風景区の入場券の人気も急上昇している。天津市薊州(けいしゅう)区の車神架風景区は、「天空の眼」というガラス張りの展望台に設置された「緩降式バンジージャンプ」が今夏、ラフティングに次ぐ人気アクティビティーとなった。従来のバンジージャンプのようなスリル満点のフリーフォール(自由落下)とは異なり緩降式のため、アドレナリンも出るが安心感も得られる。

 浙江省や江西省にある複数の山岳型風景区では、登山用のエレベーターとエスカレーターが設置され、多くの観光客の関心を集めている。「疲れない登山」が優先的に選ばれており、交流サイト(SNS)では「なぜ山に登るのかって?エレベーターがあるからさ」「一歩も歩かず山に登り、1カ所も残さず景色を楽しむ」など冗談めかした投稿も見られる。

広西チワン族自治区大瑶山盤王界風景区にある高さ100メートルの断崖エレベーター。(資料写真、南寧=新華社配信)

 多くの観光地で導入された、ゆったり楽しむ「平緩式」ラフティングも若者に大人気となっている。浙江省原野西渓風景区の「躺平(寝そべり)式」ラフティングは、1日当たりのオンラインでの売上高が40万元(1元=約21円)を上回る記録を更新した。この種のラフティングは転覆する危険がなく、パドルでこぐ必要もない。観光客はライフジャケットとヘルメットを着用して、仰向けに寝転がるだけで、涼しい風を感じながら、絵のように美しい景色を堪能できる。

 多くの若い観光客にとって、休暇旅行の一番の目的はくつろぎと癒やしで、「人気スポット巡り」を卒業し、旅で得る心地よさや満足感により重きを置くようになっている。江西省社会科学院経済研究所の鄭雅婷(てい・がてい)副研究員は、「低体力消費・高体験感」の旅行が次々と登場し、より多くの人々が気軽に心地よい旅を楽しめると指摘。「人に見せびらかす」のではなく「自分のための旅行」へと変化しており、どれだけたくさんの観光名所を巡るかという「人気スポット巡りの密度」から、どれだけ満足感を得られるかという「幸福濃度」への評価基準の変化が、今後、文化・観光市場に新たな活力をもたらすと語った。(記者/楊珏)

広西チワン族自治区興安県にある猫児山風景区で「平緩式ラフティング」を体験する観光客ら。(資料写真、南寧=新華社配信)

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