研究に基づく七重星系のイメージ図。(南京=新華社配信/李尚活氏提供)
【新華社南京10月19日】中国江蘇省の南京大学は、同大天文・空間科学学院の李尚活(り・しょうかつ)副教授と邱科平(きゅう・かへい)教授が主導する国際研究チームが、形成段階にある七つの恒星からなる星系を発見したと明らかにした。多重星系の形成メカニズムを理解する直接的な観測証拠であり、研究成果はこのほど、科学誌「ネイチャー・アストロノミー」電子版に掲載された。
論文の筆頭著者兼責任著者の李氏によると、観測結果は銀河系の恒星の半数以上が連星または多重星であることを示しており、多重星系の相互作用はガンマ線バーストや「時空のさざなみ」と呼ばれる重力波など、宇宙の驚異的な現象の発生を促すという。
七重星が母体構造内に分布している様子。(南京=新華社配信/李尚活氏提供)
中国やドイツ、米国、日本、韓国、カナダなど16大学・研究機関の学者からなる国際研究チームが南米チリのアルマ望遠鏡で地球から約4240光年離れた大質量星形成領域「NGC6334IN」を観測し、中心部で七つの原始星を発見した。動力学解析と数値シミュレーションの結果、七重星は降着円盤の分裂によって形成されたことが分かった。
ネイチャー・アストロノミーの査読者は今回の観測証拠について、「降着円盤の分裂は階層的連星系を形成する」という仮説を裏付け、大質量多重星系の起源の研究に重要な意義を持つとの考えを示した。
李氏は今後の計画について、アルマ望遠鏡など国内外の先進的な天文観測装置を活用して高い空間分解能を駆使した系統的な探査を進めるとともに、数値シミュレーションなどの手法を組み合わせて連星系や多重星系の形成メカニズムに対する理解をさらに深めていくと語った。(記者/陳席元)