23日、小児患者と話をする南京市児童医院の医療スタッフ。(南京=新華社配信)
【新華社南京9月27日】中国江蘇省南京市の児童医院は24日、5歳の終末期心不全患者に磁気浮上型の両心室人工心臓を植え込む手術に成功したと発表した。患者の体重は13キロで、同様の手術で世界最年少・最小体重の記録を更新した。
南京市児童医院の莫緒明(ばく・しょめい)名誉院長、心臓センター主任のチームが天津泰達国際心血管病医院の劉暁程(りゅう・ぎょうてい)院長のチームと共同で、9時間かけて成功させた。手術では狭い胸腔内での器具の配置や左右の心室の血流バランスの維持などの問題を克服し、患者は術後1週間で通常の食事や短距離の歩行が可能になった。
患者は3年前に難病の「拘束型心筋症」と診断され、今年7月に病状が急変。心不全の指標が危険水準を大きく上回った。5歳児の心臓提供者が非常に少ないことから、病院は家族と相談し、植え込み手術を実施した。
小児の心不全は医学界で長年の難題とされてきた。終末期の心不全患者にとっては心臓移植のほか、人工心臓と呼ばれる体内植込み型の心室補助装置が重要な治療手段となっている。
23日、小児患者と話をする南京市児童医院の医療スタッフ。(南京=新華社配信)
人工心臓は、第1世代の拍動式から第2世代のポンプ式、第3世代の磁気浮上型へと世界で進化を続けてきたが、当初は成人向けの設計であったことから、胸腔が狭いなどの制約がある小児患者への使用は難しかった。
莫氏によると、今回の患者は非常に特殊で、体重が軽い上に胸腔が小さく、心腔も通常の子どもより著しく小さいことから従来の人工心臓が適合せず、加えて左右の心室が同時に機能不全に陥ったため、両心室を補助して血流バランスを保つ必要があった。
南京市児童医院は、天津泰達国際心血管病医院、航天泰心科技と共同で患者の実物大の胸腔モデルを作成。磁気浮上型人工心臓の技術を基に低年齢児に適合する植え込み型人工心臓を開発した。
開発した人工心臓はポンプ1基の構成で重さはわずか70グラム。低溶血性と高い生体適合性を持ち、血流バランスの問題を解決するとともに血栓リスクを低減し、低年齢・低体重の小児患者への適合性を大きく高めた。
劉氏は、今回の装置と手術方法の組み合わせにより中核装置を小児患者の体内に植え込むことが可能になったと説明。「体外依存から体内適合への転換も実現し、世界でより多くの低年齢・低体重の終末期心不全の小児患者が大人と同じように磁気浮上型人工心臓を使えるようになった」と語った。