24日、江蘇省塩城市で開催された「世界沿岸フォーラム」。(塩城=新華社配信)
【新華社南京9月26日】渡り鳥の中継地として知られる中国江蘇省塩城市で24、25両日、湿地や沿岸域の生態系保護をテーマとする国際会議「世界沿岸フォーラム」が開かれた。日本からはトキの保護に取り組む新潟県佐渡市の渡辺竜五市長が出席し、塩城でのタンチョウ保護について「湿地という大きな自然環境の中でタンチョウのような個別種を守っている。その理念は大いに学ぶ価値がある」と語った。
渡辺氏は、中国と日本は共に渡り鳥の移動経路「東アジア・オーストラリア地域フライウェイ」上に位置しており、世界の主要9経路のうち最も活発とされるこのルートが佐渡と塩城を密接につなげていると指摘。生物多様性の喪失が地球規模の課題となっている今、「生物多様性の回復が人類の大きな役割になっている」と強調した。
24日、江蘇省塩城市で開催された「世界沿岸フォーラム」の会場で、新華社のインタビューに応じる佐渡市の渡辺竜五市長。(塩城=新華社配信)
塩城の湿地保護の取り組みについては「タンチョウがその中で生きている自然全体を豊かにし、希少種を含めた野鳥の再生や生物多様性の回復をもたらす大きな仕組みだ」と評価。世界沿岸フォーラムは、世界のより多くの人々が生物多様性の保護に参加し、塩城の経験を共有する契機になるとの見方を示した。
日本では1998年にトキが絶滅したが、翌99年に中国からつがいの「洋洋」(ヤンヤン)と「友友」(ヨウヨウ)が贈られ、個体群回復の取り組みが始まった。現在、野生のトキは500羽を超え、日本の生態系の象徴となりつつある。渡辺氏は、中国政府によるトキの寄贈や飼育技術などでの支援に深い謝意を表明し、両国が今後も協力してトキやタンチョウなど希少種の保護や生態系の再生に取り組むことに期待を示した。(記者/陳聖煒)