新エネ産業集積地形成を推進、企業誘致加速 中国吉林省

新エネ産業集積地形成を推進、企業誘致加速 中国吉林省

新華社 | 2025-09-22 11:30:17

吉林省大安市にある魯固直流100メガワット溶融塩タワー式太陽熱発電所。(長春=新華社配信)

 【新華社長春9月22日】中国吉林省はここ数年、優位性ある新エネルギー産業集積地の形成に力を入れ、企業誘致を進めている。すでに再生可能エネルギー発電の設備容量は3千万キロワットを超えており、地域の全面的な振興に新たな原動力を注ぎ込んでいる。

 同省では、「強風」と「灼熱(しゃくねつ)の太陽」が新エネルギー産業の発展にとって優位性のある資源となっている。省北西部にある大安市楽勝郷では、整然と配置された太陽を追尾するヘリオスタット(反射鏡)が、太陽光を中央集熱タワーに正確に反射し、溶融塩を熱媒として蓄熱している。中国の原子力大手、中国広核集団傘下で発電事業を手がける中広核新能源吉西拠点の魯固直流送電10万キロワット溶融塩タワー式太陽熱発電プロジェクトの責任者、趙雄(ちょう・ゆう)氏によると、高温の溶融塩は夜間や曇りの日でも発電を継続でき、変動を効果的に緩和できるため、グリーン(環境配慮型)電力網接続の安定性を高められるという。

 同省では直近3年間の新エネルギー発電送電量が年平均29%の伸び率で推移した。同省エネルギー局の趙彦峰(ちょう・げんほう)局長は、「第14次5カ年規画(2021~25年)」期間の最初の4年間で、東北3省にまたがる松遼新エネルギー拠点のうち、吉林省部分における新規設備容量は1200万キロワットを上回り、国家計画目標を1年前倒しで33%上回って達成したと語った。

吉林省大安市にある大安風力・太陽光グリーン(環境配慮型)水素合成アンモニア一体化モデルプロジェクトで生産された初のグリーンアンモニアを積んだトラック。(7月26日撮影、長春=新華社配信)

 低炭素転換が加速する中、グリーン水素やグリーンアンモニア、グリーンメタノールといったクリーンエネルギー由来の化学製品は、多大な炭素削減効果を上げ、水運業や農業などの分野で重要な代替製品となりつつある。同省が持つ「グリーン電力」の強みは、数々のプロジェクト誘致につながっている。

 最近では、中国の重電大手、上海電気集団が立ち上げた風力発電・バイオマス・グリーンメタノール一体化プロジェクトが同省洮南市で稼働を開始した。プロジェクト第1期では年間5万トンのグリーンメタノールを生産し、約2億2千万キロワット時のグリーン電力消費を促進し、直接的に約6万5千トンの炭素排出削減を実現すると見込まれている。

 省内では現在、五つの100億元(1元=約21円)規模のグリーンエネルギー化学プロジェクトが相次いで実施されている。省全体ではグリーン電力の大規模利用による付加価値の高い機能性化学工業製品の生産分野を継続的に拡大し、再生可能エネルギー資源の高効率な転換を支援している。

吉林省白城市通楡県同発風力発電所の風力発電機。(長春=新華社配信)

 同省ではここ数年、新エネルギー産業チェーンの延伸が加速しており、原材料生産や設備製造、製品応用など複数の分野で相乗効果や経済効果が持続的に顕在化している。

 川上では、吉林市にある老舗の化学繊維メーカー、吉林化繊集団が風力発電のブレードなどに使われる炭素繊維を生産しており、国内風力発電市場の95%を占めている。川中では、三一集団傘下で風力発電ユニットの製造・販売を手がける三一重能や新エネルギー原動機メーカーの凡瑞重工など10社余りが白城市通楡(つうゆ)県に拠点を置き、風力発電企業向けに全産業チェーンにわたる関連設備の「ワンストップ調達」を支援している。川下では、中国自動車大手、中国第一汽車集団傘下で商用車生産を手がける一汽解放汽車が6車種17モデルの水素エネルギー車を開発。中国鉄道車両大手、中国中車(CRRC)傘下の中車長春軌道客車は、時速160キロの水素を動力源とする都市間鉄道車両の試験走行に成功した。

 吉林省では、新エネルギー産業が経済発展をけん引する成長点となりつつある。(記者/段続、唐成卓)

吉林省白城市通楡県什花道風力発電所の制御センターで風力発電機の運行データを確認する作業員。(8月26日撮影、長春=新華社記者/唐成卓)

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