10日、新華社の取材に応じるジェトロ北京事務所対外業務部の匂坂拓孝部長。(北京=新華社記者/呉寒氷)
【新華社北京9月13日】中国北京市で10日、「2025年中国国際サービス貿易交易会」(CIFTIS)が開幕した。日本貿易振興機構(ジェトロ)が出展した日本館は開幕初日から多くの人でにぎわい、熱気に包まれた。ジェトロ北京事務所対外業務部の匂坂拓孝部長は新華社の取材に応じ、「本交易会が日中のビジネスの拡大とさらなる協力の推進にとって実り多いものになることを期待している」と述べた。
ジェトロは第1回開催から続けてCIFTISに出展している。匂坂氏によると、今年は36社が日本館に出展し、分野は飲食サービスや健康・美容、工芸品、酒類、食品など多岐にわたるという。
日本の出展企業は対面展示に加え、ジェトロのオンラインプラットフォーム「China Japan Street(中国語名:JETRO日本商務館)」を活用して中国のバイヤーと商談を行っている。同プラットフォームは、今回の出展企業を含む日本企業1300社余りとその中国代理店の情報を掲載し、製品とサービス9千件以上を網羅している。
10日、来場者と交流するスタッフ(右から3人目)。(北京=新華社記者/呉寒氷)
CIFTIS開催中、日本館は大阪・関西万博のプロモーションにも力を入れる。また、日本政府観光局(JNTO)などの機関と協力、パンフレットや動画を通じて沖縄や新潟などの自然環境や風俗、習慣を紹介し、より多くの中国人消費者に日本観光の魅力を感じてもらうよう取り組むという。
匂坂氏は中国市場について、越境電子商取引(EC)の急速な発展に伴い、化粧品や健康食品、日用品、工芸品など日本のライフスタイル関連商品に対する中国人消費者の関心が高まっていると指摘。「特に、中国の若者は自分を悦(よろこ)ばせるためにお金を使う『悦己(えっき)消費』の傾向がある点も新しいトレンド」とし、「多様かつ高品質な日本製品・サービスのビジネス機会が一層拡大するだろう」と語った。
また、CIFTISが長年にわたり日本企業に実質的なビジネスチャンスをもたらしてきたと振り返り、日本館では毎年のCIFTISで延べ1万人以上が来場し、数百件の商談が行われていると紹介。昨年出展した企業からは「ブランド認知拡大に役立った」「来場者からのフィードバックは新製品展開における良い市場調査の機会となった」といったコメントがあったことを明らかにした。
10日、酒を試飲する来場者と交流するスタッフ(右)。(北京=新華社記者/呉寒氷)
ここ数年は、スシローやはま寿司といった日本のサービス企業が中国で急速に成長している。匂坂氏は、日本式のサービス業企業の強みが接客スタイルや安全・安心につながる衛生管理など、品質の高いサービスにあると考えており、日本企業は今後、健康・高齢者介護、知的財産(IP)コンテンツなど既存の強みを持つ分野で対中協力を深められるとの見方を示した。また、グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタル化など新興分野で中国企業と提携の機会を模索することにも期待を寄せた。
将来の中日経済・貿易関係の展望について、匂坂氏は「日中間のニーズが一致する分野において、さらなる発展が期待できる。ジェトロは引き続き、日本企業が強みを生かすことができ、かつ中国市場のニーズが高い分野において、支援に力を入れていく計画」と語った。(記者/呉寒氷、邱虹)
10日、日本館に展示された商品。(北京=新華社記者/呉寒氷)