日本貿易振興機構は第7回中国国際輸入博覧会で「ペット経済」に焦点を当てたブースを出展した。(資料写真、上海=新華社配信)
【新華社上海9月4日】日本貿易振興機構(ジェトロ)上海事務所の高村大輔副所長はこのほど、中国の消費市場における「Z世代(1995~2009年生まれの世代)消費」「人気商品」「シルバー経済」という三つの分野に大きな潜在力があり、中日両国間の経済・貿易協力に新たな拡大の可能性をもたらしているとの見方を示した。
同機構が今年2月に発表した「2024年度海外進出日系企業実態調査(中国編)」によると、中国に進出している日系企業の85%が事業を拡大する、または現状を維持すると回答。大多数が中国市場の継続的な開拓に意欲的であることがうかがえる。
日本貿易振興機構が主催した中日高齢者用品市場交流会。(資料写真、上海=新華社配信)
高村氏によると、現在日系企業が中国で注目している新たな消費の潮流は主に、「Z世代」の消費、人気商品、高齢者関連のシルバー経済という三つの分野に集中している。
高村氏によると、Z世代の消費者は個性や体験をより重視しており、ジェトロはこの消費動向を日本企業に情報発信しているという。同氏は、同機構が主催する期間限定のポップアップイベントを例に挙げ、若者がイベント会場で文具を使って体験したり、日本酒を試飲したり、アウトドアキャンプを模擬体験したりできるインタラクティブな体験は、単に宣伝するよりも興味を持ってもらいやすいと指摘した。
日本貿易振興機構が開催した日本ウインタースポーツブランド体験イベント。(資料写真、上海=新華社配信)
人気商品の分野では、日本酒やペット用品、女性向け消費財の需要が引き続き増えている。ジェトロ上海事務所電子商取引(EC)市場開拓部の田中正義部長によると、中国の若い消費者はアルコール度数の高い酒を飲むより「ほろ酔い気分を味わう」体験を好む傾向がある。同機構は北京市や上海市にある複数の居酒屋や飲食店と共同で日本酒の試飲セットメニューを打ち出した。ペット用品分野では、高品質のペットフードやケア用品を展示。女性向け消費財では、化粧品やスキンケア製品を試してもらい、日本ブランドの革新性や繊細さを消費者に直感的に訴えている。
田中氏は、ECやデジタルマーケティングが中日両国市場を結ぶ重要な橋渡し役となっていると説明。同機構は中国のSNS「微信(ウィーチャット)」内で使うミニプログラム「JETRO日本商務館」を立ち上げた。日系企業約1300社が登録した食品や化粧品、衣料品など9千品目余りを掲載しており、大半は中国未発売の新商品となっている。このシステムは買い手側のオンライン相談や商談をサポートしている。
日本貿易振興機構は第24回CBME子ども・ベビー・マタニティ用品展でに参加、日本ブランドの女性向け消費財をPRした。(資料写真、上海=新華社配信)
中国のシルバー経済の規模は2035年までに30兆元(1元=約21円)に上ると見込まれている。こうした背景の下、日本企業は高齢者向け事業を拡大し、中国のシルバー経済発展の商機をつかもうとしている。
上海市で今年6月に開かれた「上海国際高齢者介護、補助器具・リハビリテーション医療博覧会」の会期中、同機構は在宅介護用品や福祉用具などの分野で中日企業間の交流を取り持った。参加した日本企業からは、中国の高齢者の間では「自己満足型消費、生きがい消費」という意識が年々高まっており、暮らしの便利さだけでなく、健康や生活の質を求める傾向が強まっているとの声が聞かれた。
新華社の取材に応じる日本貿易振興機構上海事務所の高村大輔副所長。(上海=新華社記者/唐斯琦)
中日経済交流の重要な推進機関として、同機構は長年にわたって中国市場に注目し、深く関わってきた。中国外交部の統計によると、昨年の中日間の貿易額は3083億ドル(1ドル=約148円)に上った。日本は現在、中国にとって第3位の貿易相手国であり、同じく第3位の輸出先国、輸入元国でもある。一方、中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、第2位の輸出先国、最大の輸入元国となっている。(記者/唐斯琦)
新華社の取材に応じる日本貿易振興機構上海事務所の高村大輔副所長。(上海=新華社記者/唐斯琦)
日本貿易振興機構は中国国内の飲食店と共同で日本酒セットメニューのキャンペーンを実施した。(資料写真、上海=新華社配信)