第15回中国国際航空宇宙博覧会(中国航空ショー)の国家航天局ブースで、「嫦娥6号」が月の裏側から持ち帰った土壌試料を見る人たち。(2024年11月13日撮影、珠海=新華社記者/鄧華)
【新華社広州8月25日】中国の科学者は、月探査機「嫦娥6号」が持ち帰った月面試料を高精度年代測定を通じて、月のアポロ盆地の形成時期を初めて約41億6千万年前と正確に測定した。今回の発見は月で大量の小天体の衝突があったとされる「後期重爆撃期」の時期を解明する重要な証拠になる。
研究は、中国科学院院士(アカデミー会員)で中国科学院広州地球化学研究所研究員の徐義剛(じょ・ぎごう)氏のチームが、中山大学や香港大学、海外の研究協力者と共同で完成させ、成果を20日、科学誌ネイチャー・アストロノミー電子版に発表した。
研究者らは、わずか3・5グラムの月の土壌から150~350ミクロンの特殊な岩片を3粒発見。岩片はアポロ盆地の形成時に生じた衝突によって溶けた岩石で、衝突を記録する理想的な「岩石の時計」とされる。
研究チームは岩片の年代を正確に測定するとともに、リモートセンシング画像や地球化学データなど多方面の情報を総合して分析。41億6千万年前がアポロ盆地の形成年代だと確認した。
月は形成初期に激しい小天体の衝突があり、月の表面に広く分布する直径300キロ以上の巨大な衝突盆地が最も分かりやすい地質記録となっている。衝突盆地が集中的に形成された時期は、学術界で月の後期重爆撃期と呼ばれている。
研究者は、「嫦娥6号」の試料採取地点があるアポロ盆地の直径は約540キロで、月の裏側の南極エイトケン盆地内で最大の2次的衝突構造だと説明。その形成年代は後期重爆撃期と密接に関連していると指摘した。