【新華社名古屋8月18日】加藤颯人さん(27)は2023年に中国江蘇省南京市の侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館を訪れた際、「和平(平和)」の2文字が刻まれた碑の前でひざまずき、日本軍による虐殺の犠牲者30万人に黙祷を捧げ、謝罪した。
在名古屋中国総領事館が先日開催した「歴史を銘記し、共に未来へ)」中日平和友好交流会に出席した加藤さんは、当時の心境について「自分の国がこれほど残虐なことをしたことを知らなかった。申し訳ないという気持ちがあり、亡くなった方々を追悼する意味で膝をついた」と語った。
岐阜県出身の加藤さんは22年に訪中し、この3年間で20以上の省(自治区・直轄市)を旅した。外国人の目線で中国の今を発信し、ソーシャルメディアのフォロワーは270万人を超える。
中国各地を旅する中で、侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館のほかにも、黒竜江省ハルビン市の侵華日軍第七三一部隊旧跡、上海市の上海四行倉庫抗戦紀念館、山西省大同市の大同煤鉱万人坑遺址紀念館などの抗戦記念施設や旧跡約30カ所を訪れた。
加藤さんは「まったく知識のない状態で行った。日本ではあまり教えていなかった」と述べた。
侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館では残虐な歴史の光景を目の当たりにし、日本軍が中国で犯した重大な罪を知った。ハルビンの侵華日軍第731部隊旧跡では、さらに大きな衝撃を受けた。胸をえぐられるような証拠の数々を振り返り、「人間がやることではない。残酷で鳥肌が立つくらい怖かった」と言葉を詰まらせながら話した。展示されていた刃物などの物証を自らの目で見て、爆破などによって事実を隠ぺいしようとした企てを知ることで、日本軍の中国での戦争犯罪がいかに深刻だったかを認識したという。
加藤さんは、日本では広島や長崎の原爆や沖縄戦など被害の歴史が多く語られるが、危害を加えた側としての歴史が語られることはあまりないとし「日本は加害者としての重い歴史を直視し、教科書にも載せるべきだ」と語った。
今年は中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争の勝利80周年に当たる。加藤さんは、より多くの日本人に中国の抗戦記念施設を実際に訪れてもらい、歴史の真相に触れてもらうという新たな目標に向けて準備を進めている。
加藤さんは「自分には力がないが、ソーシャルメディアを見てくれる人には歴史を伝えていきたい」とし「過去の過ちを認めることこそ平和に向かう第一歩になる」と語った。(記者/胡暁格、李光正)